研究課題/領域番号 |
24790976
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大野 芳典 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (10548986)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 白血病幹細胞 / Hox / MLL-AF9 / ユビキチン / Geminin |
研究概要 |
本研究において、spinoculation法を用いた高効率なレトロウィルス発現ベクターの感染方法を確立し、造血幹細胞への遺伝子の導入方法を樹立した。さらに、この実験系を用いてMll遺伝子の転座を有する難治性白血病での発現が認められるHoxa9が転写調節因子として機能するだけでなく、E3 ユビキチンリガーゼのコア複合体であるRoc1-Cul4a-Ddb1 と複合体を形成し、Gemininタンパク質をユビキチン化し分解制御することを明らかにした。そして、Hoxa9はGemininの分解制御を介して造血幹細胞や造血前駆細胞の活性を支持していることを証明した。そして、この成果をまとめて英文論文に投稿した。さらに、Hoxa9と共導入することで急性骨髄性白血病を発症するMeis1が、Hoxa9と共導入することでGemininのタンパク質を減少させることを293細胞を用いた解析で明らかにした。そこで現在、Hoxa9とMeis1の共導入による白血病の発症とGemininの発現動態について解析を進めている。またさらに、MLL融合遺伝子の一つであるMll-AF9を自己複製能を持たない骨髄球系前駆細胞であるcommon myeloid progenitorsおよびgranulocyte/macrophage progenitorsに導入することで、自己複製能もや静止期維持などの幹細胞性を付与して白血病幹細胞を成立させる実験系を確立し、白血病幹細胞の自己複製能獲得におけるGemininの発現動態について解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レトロウィルスの高効率の感染方法を取得し、造血幹細胞への遺伝子の導入法を確立した。そして、この実験系を用いてGeminin-YFPノックインマウスの骨髄細胞に遺伝子を導入し白血病発症とGemininの発現動態を評価するための実験に着手することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究計画に従い、Geminin-YFPマウス由来の白血病幹細胞を次世代シークエンサーであるIllumina社のGenome Analyzer IIxにかけて、Gemininの発現動態と相関し特異的な発現動態を示す遺伝子を同定し、白血病幹細胞制御におけるGemininの分子機能を解明する。また、NGOマウスを用いたヒト白血病発症モデルマウスを樹立し、ヒト白血病におけるGemininの発現制御と白血病幹細胞活性の相関について調べ、ヒトの白血病発症におけるGemininの役割について検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究費の大半は消耗品に使用する予定である。具体的には実験動物購入費・実験動物飼育費・ウシ胎仔血清・細胞培養用ディッシュ・ディスポピペット・抗体類・培地類・サイトカイン類などである。また、学会参加の旅費と研究成果をまとめるための論文校正・印刷費を計上している
|