研究課題
急性GVHDのマウスモデル(B6 into BDF1)を用いて腸幹細胞のニッチを形成するパネート細胞について研究を行った。これまでの研究でGVHDによるパネート細胞の障害によってパネート細胞が産生する抗菌ペプチドであるα-defensinの産生が低下することを明らかにしていたが、今回の研究で注目した別の抗菌ペプチドであるregenerating islet-derived IIIγ(REGIIIγ)はGVHDの発症に伴ってむしろ産生が増加することを突き止めた。これは、パネート細胞ではなく、腸管上皮細胞からの産生が増加しているためで、この変化が移植前処置による腸管障害とは独立にMyD88のシグナル伝達に依存していることも明らかにした。これらの成果はGVHD発症時における抗菌ペプチドの変化の一端を明らかにするものでGVHDの発症時における抗菌ペプチドと腸管内の細菌叢の関係についてより深い理解を与えるものと考えられる。また、慢性GVHDモデル(B10.D2 into BALB/c)を用いて皮膚GVHDの病理組織学的検討を行った。その結果、移植前処置によって障害された皮下脂肪組織の再生をGVHDが阻害し、毛乳頭の消失、肉眼的には脱毛につながることを示唆する所見を得た。この成果から皮下脂肪組織の前駆細胞である脂肪前駆細胞が皮膚の幹細胞のニッチとして機能していること、つまり移植前処置やGVHDによってニッチが障害された結果、皮膚の幹細胞の再生・維持が困難になって毛乳頭が消失、脱毛が生じたと推察された。
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