研究課題
白血病治療方針決定のための予後予測法開発のために、DNAマイクロアレイシステムにより多数の白血病骨髄サンプルを解析した結果、予後に関わる可能性のある68遺伝子を抽出した。本研究ではこの中から予後予測可能な遺伝子セットを同定することを目標とした。今回の研究で、これまでに報告された予後予測のためのスコアリングシステムと対比させてクラスタ解析を行ったところ20遺伝子で急性骨髄性白血病の予後を良好群と不良群に分けられることが判明した。良好群が3年全生存割合が78%だったのに対し、不良群は生存期間中央値が350日であった。良好群にはt(8;21)やt(15;17)など予後良好の染色体異常を呈する症例が多く属し、不良群には複雑染色体異常を呈する症例が多く属していた。また不良群における生存例は全例再発生存であった。このようにこの20遺伝子は急性骨髄性白血病の予後を予測する極めて有用な遺伝子セットとなる可能性を秘めており、今回の研究でこの20遺伝子セットの有用性を検証するため、すでに予後が判明している過去の骨髄サンプルにおける発現を検証コホートとして検討を進めている。さらに今回の研究におけるアレイ解析にてにて骨髄異形成症候群から急性骨髄性白血病への移行に関与する可能性のある遺伝子を見出した。この遺伝子は骨髄異形成症候群では全例で発現が低かったが、急性骨髄性白血病では、その発現レベルはさまざまであり、高発現例では有意に予後不良であることが判明した。また高発現例では末梢血の白血球数や芽球が有意に増加していた。この遺伝子産物の白血病発症における役割について今後検討を加える予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Clinical Lymphoma, Myeloma & Leukemia
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