研究課題
若手研究(B)
平成24年度の研究内容として、FK506による細胞死・管腔崩壊に対するカルシニューリン及びFKBPの関与を解析した。その結果、カルシニューリンはFK506によって確かに活性抑制が確認されたが、カルシニューリンをRNA干渉によって発現抑制させてもFK506による血管内皮細胞の細胞死及び管腔崩壊は抑制されなかったことから、FK506によるカルシニューリンの阻害が血管内皮障害の主原因でないことが判明した。FKBPに関しては、FKBPのうちFKBP12をRNA干渉によって発現抑制した結果、FK506による血管内皮細胞死は抑制されなかったものの、管腔崩壊に関しては一部抑制することが観察された。これらの結果から、FK506による血管内皮障害にはカルシニューリンは関与せず、FKBPとFK506の複合体の関与が示唆された。また、この血管内皮障害はカスパーゼを介した古典的なアポトーシスを介さないことも示された。加えて、細胞内のシグナル伝達を解析したところ、FK506によって血管内皮細胞の生存に重要なリン酸化酵素であるAktとERK1/2の弱い活性抑制が解析された。さらに、それらリン酸化酵素の特異的阻害剤を使用してそれぞれを非常に弱く活性抑制を促したところ血管内皮障害が確認されたことから、FK506による血管内皮障害はAktとERK1/2の弱い活性抑制が原因で誘導されることが判明した。
2: おおむね順調に進展している
本研究に関して平成24年度の学会で報告した内容の一部を論文投稿し、最近受理された。この受理された論文内容は若手研究Bに申請した際の初年度の研究計画を完全に遂行した結果である。
平成25年度では、FK506による細胞死・管腔崩壊に対する製剤Aの治療効果の解析を行う。
平成24年度では試薬・消耗品に研究費を使用する予定であったが論文投稿及びその受理までに大幅に時間をとられたため、平成25年度の研究費は試薬・消耗品がほとんどを占める。また、今回の論文受理によってその英文校正代及び別刷り代が一部経費として計上される。
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