研究課題
関節リウマチ(RA)における抗原特異性CD4陽性T細胞の病態への関与についての研究を、自己抗原BiPに対する免疫応答の観点から研究を進めてきた。平成24年度までにエフェクターT細胞に認識されるBiPeff epitope、制御性T細胞に認識されるBiPregエピトープの同定に至っている。今年度はBiPeffエピトープについて、このエピトープ刺激によりRA患者PBMCからのIL-17, IFN-gamma産生が亢進すること、BiPeffエピトープに対するPBMC増殖反応の強さはRA活動性、抗BiP抗体値との有意な相関などRA病態に関与していることがわかった。またBiPregエピトープによりBiPeffエピトープ活性が抑制されることも証明した。以上より、RA患者においてはBiPeffエピトープ特異的T細胞が活性化しており、健常人ではBiPregエピトープにより行われる抑制がきかないことがRA病態において重要な点であること考えられた。一方でHLA-DRテトラマーによる解析は、新規技術でもあり、その特異性についてT細胞受容体のクローニングと再構築による機能解析を行うことで検討中である。今年度はBiPregエピトープ経口投与によるマウス関節炎治療実験の再検と、抑制機序の解析を行った。BiPregエピトープを投与されたマウスでは、脾臓におけるCD25+Foxp3+制御性T細胞の増加、IL-10産生の増加、およびエフェクターT細胞増殖の低下が確認された。経口免疫寛容の機序により制御性T細胞が誘導されたことが抑制のメカニズムと考えられたが、ヒトへの応用可能性についてペプチドの修飾を含めて検討を行っている。
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