研究概要 |
本研究課題申請時点で,Dectin-1欠損マウスにおいてFITC誘導接触性皮膚炎(CHS)の増悪化を見いだしていた。平成24年度は,Dectin-1 欠損マウスで観察されたCHS 応答亢進の現象論的詳細を明らかにする。まず,感作期における抗原提示細胞の機能を明らかにすべく,FITC感作後の所属リンパ節への遊走および活性化をフローサイトメトリーにより評価した。その結果,抗原提示細胞の遊走能および活性化は野生型マウスとDectin-1欠損マウスで同程度であった。つぎに,感作期におけるT細胞機能を明らかにすべく,FITC 感作後の野生型マウスおよび Dectin-1欠損マウスから所属リンパ節を回収し,FITC 存在下でin vitro刺激を行った。T細胞増殖を3H-TdRの取り込みにより,サイトカイン産生量をELISA法により評価した結果,野生型マウスとDectin-1欠損マウスでT細胞増殖応答,IFN-g, IL-4, IL-17産生量いずれにおいても同程度であった。また,フローサイトメトリーによりTh1/Th2/Th17/Treg細胞組成を比較したところ、野生型マウスとDectin-1欠損マウスで同程度であった。以上の結果から、Dectin-1は抗原感作期には関与せず,炎症誘導期において機能することが示唆された。
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