研究課題/領域番号 |
24791002
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
前田 伸治 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (80381854)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
制御性T細胞‐ワクチン療法を、抗原未確定な自己免疫疾患に応用するにあたり、関節炎モデルマウスの確立と、ヒトのリウマチ疾患におけるアバタセプト治療による末梢血T細胞の変化、制御性T細胞の変化を、多色フローサイトメトリー法により詳細に解析した。マウスに関しては、H24年度において、everolimusの投与により、末梢において(Splenocytes)、制御性T細胞の増加が顕著に認められた。現在、IL-2/IL-2Abs complexesの投与とeverolimusの投与による、より強力な制御性T細胞の増殖法について検討している。 ヒトのリウマチ性疾患におけるアバタセプト治療による変化に関して、制御性T細胞のうち、活性型Tregは減少するが、resting Tregは増加することを報告してきた。加えて、H24年度は、解析する対象細胞を、エフェクターT細胞、および末梢血の樹状細胞にも広げ、アバタセプト治療による変化を解析してきた。この結果、CCR6+CD161+のヒトTh17細胞が経時的に減少してくることが分かった。加えて、末梢血樹状細胞の解析では、アバタセプト治療によって、CD86の発現が低下する可能性が示唆され、詳細に現在検討中である。 Abataceptによる変化は、機能的(抑制性)Tregの割合を維持し、かつeffector T細胞の割合を減少させうることから、Treg/Th17バランスを補正する可能性がある。 この成果と、現在推し進めている、関節炎モデルマウスによるTreg-ワクチン療法の組み合わせで、より強力かつ長期的な関節炎の制御を課題とし、次年度も精力的に進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度に予定していたマウス実験について、everolimus投与による制御性T細胞の増加などを、さまざまな関節炎モデルマウスにより確認している。フローサイトメトリーによる多色解析で、CAIAモデル、およびSKGマウスの両方で、実験が順調に進んでいる。 加えて、H25年度に予定していたヒト末梢血(リウマチ患者)の解析を進め、ケモカイン受容体の変化、増殖マーカーなど詳細に解析し、26症例の経時的な変化を確認できている。これに関しては近々論文投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
マウスにおける、Tregワクチン療法が、自己抗原未確定な関節炎モデルマウスにおいても有用であることを確認する事が第一目標である。このため、Lyposomeを用いて、炎症局所へのDrug deliverlyの要素を新たに組み込み、everolimusの分布を極力関節炎領域に集中させることで、より高い効率を狙う。具体的には、Lyposome表面にシアリルルイスXを付着させ、そのLyposome内部にeverolimusを抱合し、関節炎モデルマウスへ投与する方法であり、現在このSLX-Lyposome-everolimusを片山化学の協力で作成中である。これにより、炎症局所でeverolimusの高濃度分布が可能となり、より関節炎で活性化しやすいT細胞のTregコンバージョンを期待し、具体的な治療戦略として、ヒトにおいても炎症性局所におけるTreg誘導法へとつながる基礎的研究を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
関節炎モデルマウスへの養子移入実験や、everolimus投与による関節炎抑制の評価のため、モデルマウス購入(SKGマウス)やCAIAモデルのための抗体カクテルの費用 IL-2/IL-2 Abs complex作成のためのリコンビナント‐mouse-IL-2、およびIL-2 Abの費用 養子移入のための磁気ビーズ用品(MACS, Dynabeads)、およびフローサイトメトリー解析のための抗体 everolimus抱合Lyposome作成代 論文作成の校閲、学会発表出張費など結果報告のための諸費用
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