研究課題/領域番号 |
24791002
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
前田 伸治 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80381854)
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キーワード | 関節炎 / 免疫寛容 / Drug deliverly |
研究概要 |
制御性T細胞ーワクチン療法を、抗原未確定な自己免疫疾患に応用するにあたり、関節炎モデルの確立、everolimusおよびIL-2/IL-2Abs conplexの投与によるTregの増強法を確立している。H25年度において、everolimus投与により、正常マウスでTregの増加を認めたが、2つの関節炎発症モデルマウスにおいては、Tregの増加を認めなかった。everolimusのTreg誘導効果が、全身の炎症病態により減弱していることが推察される。そこで、よりeverolimusの効果を増強するため、シアリルルイスX表面付着のGlycoLyposomeにeverolimusを抱合するDrug deliveryにより、関節炎局所に集中させることで、Tregの増加を認めた。 現在、これとIL-2/IL-2Abs complexesを用いた、炎症局所有意のTreg増強治療を検討している。 ただし、IL-2/IL-2Abs complexは、Tregを著増させるが、かなり活性化されている。活性型TregはT細胞増殖抑制効果がより強い反面、in vivoにおいて短命であり、長期免疫抑制を目標とした本研究の目的には合致しないことが分かった。これまで、私たちは、ヒトのリウマチ疾患におけるアバタセプト治療が末梢血制御性T細胞(Treg)を変化させ、resting-Tregを増加させる点を詳細に解析して見出した。rsting Tregは、免疫抑制効果をもつ機能的Tregであるが、活性型Tregと比較して長期生存型であることが分かっている。 この、炎症局所everolimus投与と、IL-2/IL-2Abs complex、およびAbataceptの投与により、炎症局所に有意にTregを増加させ、かつ長期自己免疫寛容を維持する方法について、次年度も精力的に進めていく
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H25年度にThy1.1マウスを用いた養子移入実験を行う予定であったが、Thy1.1モデルマウスの導入(輸入 凍結卵)に時間がかかり、一連の実験が中段した。そのため計画を変更し、グリコリポソームにエベロリムスを抱合したものを作成し、これを用いた2step治療の解析を行うこととしたため、遅延、および未使用学が生じ、補助事業期間を延長していただくこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
炎症局所everolimus投与のためのSLX-Lyposome抱合everolimusによるTreg誘導のさらなる解析と、IL-2/IL-2Abs complex、およびAbataceptの組み合わせ投与により、炎症局所に有意にTregを増加させ、かつ長期自己免疫寛容を維持する方法について模索していく。 特に、炎症局所でよる有意にTregのコンバージョンがおこるかどうか(関節炎抗原特異的Tregを多く含む可能性)、IL-2/IL-2Abs complexとAbatacept投与により、resting Tregの増加がおこるかどうかを確認していき、ヒトにおける炎症性局所でのTreg誘導法へとつながる基盤的研究を確立する
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度に、当初の予定であった、Thy1.1マウスの養子移入実験を行う予定であったが、Thy1.1モデルマウスの導入(海外から輸入、凍結卵から作成)が困難で、一連の実験が中断した。そのため、前年度までに購入した物品で可能な範囲で研究をすすめ、Thy1.1マウスを用いた実験を延期し、グリコリポソームを用いた実験に計画を変更した。 グリコリポソーム(SLE付着、エベロリムス抱合)の作成、およびこの投与による関節炎モデルマウスでのTregなどの解析。および、この投与、およびIL-2/IL-2Abs complex、Abatacept投与による関節炎モデルマウスでの関節炎の抑制効果、Treg増強効果の確認を次年度に行う予定で、未使用額はその経費に充てる
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