研究概要 |
関節リウマチは多様な病態からなる慢性炎症性の疾患である。一方、タンパク質の翻訳後修飾は生理学的恒常性の維持およびその恒常性が崩れることで様々な疾患の病因・病態制御に関与している。また、リウマチの病態に重要であると考えられる修飾ユビキチン化とシトルリン化がクロストークすること、シトルリン化がユビキチン化を抑制することを明らかにしてきた。本研究ではユビキチン化とシトルリン化のクロストークの意義を明らかし、特に、シトルリン化によるユビキチン化の抑制が滑膜細胞の増殖やサイトカインの過分泌といった病態に関与するかどうか明らかにすることを目的として解析を行った。 シノビオリンによるユビキチン化を特異的に抑制するツールとしてシノビオリン阻害剤を単離しその効果を検証した。 シノビオリンの自己ユビキチン化活性を指標に200 万個の低分子化合物ライブラリーからそれぞれ IC50=20, 30 μM の阻害活性を有する LS-101, 102 を得た。これらの阻害剤が他の E3 ユビキチン化酵素に対して特異的にシノビオリンに作用することを確認した。またリウマチ患者由来の滑膜細胞の増殖及び関節リウマチモデルであるコラーゲン誘導型関節炎マウスにおいて病態の重症化を抑制することを報告した。また個体内で転写後修飾関与を検討するため時期特異的シノビオリン欠損マウスを作製した。成体へのタモキシフェン投与によりシノビオリン遺伝子の組み換え、欠損が起きることを RNA 、タンパク質レベルで確認した。
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