研究実績の概要 |
①Bv8のケモカイン作用の検討 正常人末梢血好中球,単球のBv8に対する走化性をin vitroにて検討した.その結果,好中球に対する走化性亢進を認めたが,単球における走化性亢進は認めなかった.次に正常マウス膝関節にrecombinant Bv8を注射しin vivoにおける炎症細胞の集積を検討した.その結果,recombinantBv8投与群は対照群に比べ膝関節に好中球の集積を認めたが単球の集積は同等であった. ②関節炎モデルマウスにおけるprokineticin receptorの検討 関節炎モデルマウスにおいてBv8のreceptorであるPKR1とPKR2の発現を検討した.その結果,PKR1,2共に滑膜炎部での発現が亢進していた.PKR1の免疫染色を行ったところ好中球にPKR1が発現していることが判明した.①,②の結果より関節滑膜で産生しているBv8が関節局所に好中球を誘導し関節炎を増悪させている可能性が明らかとなった. ③関節リウマチ患者における末梢血Bv8の発現の検討 関節リウマチ患者において末梢血白血球中のBv8の発現をrealtime PCR法で検討した.そして,Bv8の発現と関節リウマチでみられる臨床症状との関連を検討した.結果,対照群と比較しリウマチ患者では白血球中Bv8mRNAの発現が亢進していた.更に関節炎の活動性が高いほど,末梢血白血球中のBv8の発現が高い傾向を認めた.この結果は関節炎モデルマウスと同様の傾向であった.しかし,Bv8の発現と疼痛やサーカディアンリズムの異常,抑うつ,ストレスとの関連は認めなかった.
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