研究課題
ヒラタチャタテアレルゲンLip b 1のリコンビナントタンパク作製のために、まず本タンパク質をコードするcDNAの同定を試みた。ヒラタチャタテ虫体よりpoly(A)+RNAを精製し、ヒラタチャタテのcDNAライブラリーを作製した後、イルミナ社シークエンサーを用いて大量塩基配列決定(RNA-seq)を行った。得られた塩基配列情報に基づき構築したcDNA配列から、すでに同定しているLip b 1の部分アミノ酸配列をコードするopen reading frame(ORF)を含むものを検索し、Lip b 1のcDNAを同定した。次世代シーケンス解析により得られたcDNA配列に基づいてプライマーを設計し、逆転写PCRによりLip b 1のORFを含む領域を増幅した。得られたPCR産物をクローニングし塩基配列を決定した結果、本cDNAは推定254アミノ酸から成るタンパク質をコードすることが示された。さらに、これらのcDNAには部分的に塩基が異なる2種類の配列が混在しており、そのうちの1種類については、すでに報告しているLip b 1の2ヶ所の部分アミノ酸配列(それぞれ12アミノ酸から構成)と完全一致する配列を含むタンパク質をコードすることが明らかとなった。もう一方の配列については、上記の2ヶ所の部分アミノ酸配列のうち2アミノ酸のみ一致しなかったが、両配列間の相同性が極めて高いことから、ともにLip b 1をコードするvaliantのcDNAであると推察された。両valiantがコードするタンパク質について、blastpを用いて相同性検索を行ったところ、唯一コロモジラミ由来のhypothetical proteinのみにともに22%の類似性でhitした。これより、Lip b 1が新規のタンパク質であることが明らかとなった。現在、Lip b 1の機能に関しても検討を進めているが、バイオインフォマティクス解析の結果、何らかの膜貫通蛋白である可能性が示唆されている。
3: やや遅れている
Lip b 1抗体を作製するためにはLip b 1のリコンビナントタンパクの作製が必要となる。現在までにLip b 1をコードする塩基配列は同定されたが、リコンビナントタンパクはまだ得られていない。
リコンビナントタンパクが得られ次第、ウサギを免疫しポリクローナル抗体を作製し、それを用いてハウスダストのLip b 1汚染調査を行う。
研究計画全体がやや遅れているため。今年度、リコンビナントタンパク作製とポリクローナル抗体作製にコストが必要となる計画です。
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