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2012 年度 実施状況報告書

ヒト免疫不全ウイルスの細胞間感染による薬剤感受性・ウイルス複製動態への影響

研究課題

研究課題/領域番号 24791021
研究機関京都大学

研究代表者

志村 和也  京都大学, ウイルス研究所, 助教 (90613836)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードHIV / 抗ウイルス薬 / 感染経路
研究概要

ウイルスの感染様式には、細胞間隙に放出されたウイルス粒子が標的細胞に感染するセルフリー感染系と、感染細胞と非感染細胞間の物理的接触によりウイルスが伝播する細胞間感染系に大別される。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、両感染経路で標的細胞に感染するが、細胞間感染系ではより効率よく感染拡大を引き起こすことが知られている。
近年、HIV-1の細胞間感染では、セルフリー感染系と比較して、一部の抗HIV薬に低感受性を示すことが報告された。これは、1細胞あたりに感染するウイルス伝播量が、セルフリー感染系と比べて多いため、抗HIV薬の活性が十分発揮できないと推測されている。そこで本研究では、セルフリー感染系と細胞間感染系における抗HIV薬の活性を比較することで新たな治療計画の確立につなげることを目的とした。
平成24年度においては、評価系の改良を行った。具体的には、蛍光タンパクをコードする遺伝子をHIV-1感染性クローンに導入することで、陽性率の増加を図った。本改良で得られたプラスミドを用いて作製した複製可能蛍光標識HIV-1を、標的細胞として用いたMT-4細胞に感染させたところ、感染48時間後に約15%の細胞でHIV-1の感染が認められた。また、感染に用いたウイルスタイターと感染細胞率の間に直線関係が認められた。同様に、細胞間感染系の評価法も改良した結果、標的細胞では遺伝子導入したプラスミド量に依存して約10から50%近くの細胞でHIV-1陽性を示した。今後は確立した評価系を用いて解析を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

従来用いていた評価系では、野生型HIVを使用して、レポーター細胞でのHIV感染率をフローサイトメトリーで評価していたが、数%程度の陽性率しか得られなかった。そこで、解析に先駆けて、評価系の改良を行ったため、実際の結果が得られるのが遅れた。しかし、解析に耐えうる程度の陽性率が得られたため、今後はこの系を使用して解析を進める予定である。

今後の研究の推進方策

今回確立した評価系を用いて、両感染経路間での抗ウイルス薬感受性差の解析を順次進める。また、共培養数時間以内に起こる、複製を介しないGagの移動についても解析を行う。

次年度の研究費の使用計画

本研究課題では、フローサイトメトリー解析が主要な評価法であるため、これに係る消耗品や、細胞培養等に必要なプラスチック器具等の購入を計画している。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Comprehensive in vitro analysis of simian retrovirus type 4 susceptibility to antiretroviral agents2013

    • 著者名/発表者名
      Togami H, Shimura K, Okamoto M, Yoshikawa R, Miyazawa T, Matsuoka M
    • 雑誌名

      J Virol

      巻: 87(8) ページ: 4322-9

    • DOI

      10.1128/JVI.03208-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mechanism of resistance to S138A substituted enfuvirtide and its application to peptide design2013

    • 著者名/発表者名
      Izumi K, Kawaji K, Miyamoto F, Shimane K, Shimura K, Sakagami Y, Hattori T, Watanabe K, Oishi S, Fujii N, Matsuoka M, Kaku M, Sarafianos SG, Kodama EN
    • 雑誌名

      Int J Biochem Cell Biol

      巻: 45(4) ページ: 908-15

    • DOI

      10.1016/j.biocel.2013.01.015

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Design and synthesis of biotin- or alkyne-conjugated photoaffinity probes for studying the target molecules of PD 4041822013

    • 著者名/発表者名
      Mizuhara T, Oishi S, Ohno H, Shimura K, Matsuoka M, Fujii N
    • 雑誌名

      Bioorganic & Medicinal Chemistry

      巻: 21 ページ: 2079-2087

    • DOI

      10.1016/j.bmc.2013.01.016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Concise synthesis and anti-HIV activity of pyrimido [1,2-c][1,3]-benzothiazin-6-imines and related tricyclic heterocycles2012

    • 著者名/発表者名
      Mizuhara T, Oishi S, Ohno H, Shimura K, Matsuoka M, Fujii N
    • 雑誌名

      Organic & Biomolecular Chemistry

      巻: 10 ページ: 6792-6802

    • DOI

      10.1039/C2OB25904D

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structure-activity relationship study of pyrimido[1,2-c][1,3]- benzothiazin-6-imine derivatives for potent anti-HIV agents2012

    • 著者名/発表者名
      Mizuhara T, Oishi S, Ohno H, Shimura K, Matsuoka M, Fujii N
    • 雑誌名

      Bioorganic & Medicinal Chemistry

      巻: 20 ページ: 6434-6441

    • DOI

      10.1016/j.bmc.2012.08.030

    • 査読あり
  • [学会発表] 広範なスペクトルを有する新規抗HIV薬の同定とその開発2012

    • 著者名/発表者名
      志村和也、水原司、大石真也、藤井信孝、松岡雅雄
    • 学会等名
      日本エイズ学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20121124-20121126
  • [学会発表] ニホンザルより検出されたSRV-4に対する抗HIV薬の効果2012

    • 著者名/発表者名
      戸上博昭、志村和也、宮沢孝幸、松岡雅雄
    • 学会等名
      日本ウイルス学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20121113-20121115
  • [備考] 京都大学ウイルス研究所

    • URL

      http://www.virus.kyoto-u.ac.jp/

  • [備考] 最新の研究成果

    • URL

      http://www.virus.kyoto-u.ac.jp/about/y2012/matsuoka201303.html

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公開日: 2014-07-24  

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