本研究では豚連鎖球菌による経口ルートによる感染に着目して、本菌の腸管から血中移行を果たすメカニズムを本菌が産生するSLY毒素とともに調べた。マウスループモデルからSLY欠損株では血中移行を果たす菌株は非常に少なく、組換えSLY単独でも血中移行を引き起こす。またSLYは腸管上皮組織に細胞傷害性を与え、バリア破壊を引き起こしていることが判明した。一方でトランスウェルを用いた実験でも同様な現象が見られるのに加え、SLY低濃度時に細胞骨格への働きかけ、またカルパインの誘導による細胞間隙蛋白の減弱が見られた。SLYのこのような働きにより細胞が弱体化しバリア破壊が引き起こされることが判明した。
|