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2012 年度 実施状況報告書

HBVゲノタイプA感染に伴う病態解明に向けた基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 24791023
研究機関広島大学

研究代表者

柘植 雅貴  広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助教 (50448263)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードB型肝炎 / 治療 / 核酸アナログ
研究概要

1.In vitroにおける各種核酸アナログ製剤の抗ウイルス効果の検討
核酸アナログ使用歴のないB型慢性肝炎患者の保存血清より、DNAを抽出し、HBVゲノムを増幅し、1.4倍長のHBVゲノム(genotype AおよびC)を組み込んだHBV発現プラスミドを作製。作製したHBV発現プラスミドに既報にある薬剤耐性変異を加え、各種薬剤耐性株を発現するプラスミドを構築。作製したHBV発現プラスミドをHepG2細胞にトランスフェクションし、培養上清中に様々な濃度の核酸アナログを添加。薬剤添加72時間後の細胞内複製中間体量を測定し、核酸アナログの抗ウイルス効果を解析した。その結果、野生株におけるテノホビルの感受性は、genotype A、CのIC50がそれぞれ0.79μM、0.55μMであったことから良好と考えられたが、genotype Aにおいて感受性が低い傾向にあった。ラミブジン耐性株、ラミブジン・アデホビル耐性株、ラミブジン・エンテカビル耐性株においても、同様の検討を行ったところ、ラミブジン・アデホビル耐性株、ラミブジン・エンテカビル耐性株では、テノホビル感受性の低下を認めた。また、いずれの耐性株においてもgenotype AにおけるIC50は、genotype Cに比べ、高く、治療抵抗性である可能性が示された。
2.In vivoにおける各種核酸アナログ製剤の抗ウイルス効果の検討
HBV発現プラスミドをトランスフェクションした培養細胞から産生されたHBV粒子をヒト肝細胞キメラマウスに接種。HBV感染キメラマウスを作製後、マウスに核酸アナログを投与し、マウス血中のHBV DNA量の変化を検討した。その結果、アデホビル耐性変異として報告されているN236T変異が新規核酸アナログ製剤として期待されているテノホビルにおいても中等度の薬剤耐性を示す可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績に示したように、今年度は、HBV genotype A感染患者血清からHBV発現プラスミドをクローニングし、核酸アナログの一つであるテノホビルを用いて、in vitroにおける薬剤感受性の評価を行った。また、HBV感染ヒト肝細胞キメラマウスを作製し、マウスに核酸アナログ製剤を経口投与することによる抗ウイルス効果についても検討を行った。これらは、研究計画書のした3つの検討のうち、2つにおいて、年度内の目標を達成しているものと考える。また、HBV感染および非感染ヒト肝細胞キメラマウスよりヒト肝細胞を採取し、遺伝子発現プロファイルを作成し、現在、HBV感染に伴いヒト肝細胞内で影響を受ける免疫応答に関与する遺伝子の抽出および確認を行っている。これは、残りの検討にあたり、一部計画を変更したものの、ほぼ計画を遂行できているものと考えている。

今後の研究の推進方策

達成度にも示したように、現在のところ、当初の計画に準じて研究が推進できている。今後は、まず、HBV持続感染ヒト肝細胞キメラマウスに核酸アナログ製剤を長期投与することにより、核酸アナログ耐性株が出現するか否かについて検討を行う予定である。さらに、B型慢性肝炎治療において、HBVを肝細胞から排除する方法を見出すことは大きな課題であることから、in vitro、in vivoのモデルを利用して、HBVの生体内における免疫寛容誘導機構の解明に向けた検討を行っていく。その一つとして、本研究では、HBV感染に伴うヒト肝細胞内への影響を解析し、HBVの免疫応答への関与を明らかにしていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Hepatitis B Virus-Specific miRNAs and Argonaute2 Play a Role in the Viral Life Cycle.2012

    • 著者名/発表者名
      Hayes CN, Akamatsu S, Tsuge M, Miki D, Akiyama R, Abe H, Ochi H, Hiraga N, Imamura M, Takahashi S, Aikata H, Kawaoka T, Kawakami Y, Ohishi W, Chayama K.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 7 (10) ページ: e47490

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0047490

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Severe necroinflammatory reaction caused by natural killer cell-mediated Fas/Fas ligand interaction and dendritic cells in human hepatocyte chimeric mouse.2012

    • 著者名/発表者名
      Okazaki A, Hiraga N, Imamura M, Hayes CN, Tsuge M, Takahashi S, Aikata H, Abe H, Miki D, Ochi H, Tateno C, Yoshizato K, Ohdan H, Chayama K.
    • 雑誌名

      Hepatology

      巻: 56 (2) ページ: 555-566

    • DOI

      10.1002/hep.25651

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ヒト肝細胞キメラマウスを用いた抗HBV薬剤感受性評価と臨床への応用2012

    • 著者名/発表者名
      柘植雅貴、今村道雄、茶山一彰
    • 雑誌名

      肝胆膵

      巻: 65 (4) ページ: 591-600

    • 査読あり
  • [雑誌論文] HBV RT領域変異株におけるテノホビルの抗ウイルス効果の検討2012

    • 著者名/発表者名
      柘植雅貴、平賀伸彦、茶山一彰
    • 雑誌名

      消化器内科

      巻: 54 (5) ページ: 575-538

  • [学会発表] 薬剤耐性B型肝炎ウイルスに対する テノホビルの抗ウイルス効果と Genotypeによる相違の検討2013

    • 著者名/発表者名
      村上英介、柘植雅貴、茶山一彰
    • 学会等名
      第99回日本消化器病学会総会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] B型肝炎における治療・診断の最近の話題2013

    • 著者名/発表者名
      柘植雅貴
    • 学会等名
      第30回広島県医学検査学会 ランチョンセミナー
    • 発表場所
      呉市
    • 年月日
      20130310-20130310
    • 招待講演
  • [学会発表] 薬剤耐性HBVに対する核酸アナログの抗ウイルス効果2012

    • 著者名/発表者名
      柘植雅貴
    • 学会等名
      Hepatology Meeting in Japan 2012
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20121027-20121027
  • [学会発表] 当院におけるB型慢性肝炎に対するインターフェロン治療効果の検討2012

    • 著者名/発表者名
      小林知樹 、柘植雅貴 、茶山一彰
    • 学会等名
      第54回日本消化器病学会大会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      20121010-20121013
  • [学会発表] HBV薬剤耐性変異株に対するテノホビルの抗ウイルス効果2012

    • 著者名/発表者名
      柘植雅貴、今村道雄、茶山一彰
    • 学会等名
      第48回日本肝臓学会総会
    • 発表場所
      金沢市
    • 年月日
      20120607-20120608

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公開日: 2014-07-24  

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