インフルエンザ菌による慢性下気道感染症の成立機序について、インフルエンザ菌が気道上皮細胞内侵入性を有することに着目して解析を行った。肺気腫患者の下気道に定着したインフルエンザ菌21株について気道上皮細胞内侵入性について比較したところ、菌株によって侵入能力に差が認められた。さらに気道上皮細胞内へ高頻度に侵入したインフルエンザ菌では、I型インターフェロン(IFN)の産生が有意に増加していた。通常、I型(IFN)は抗ウイルス作用を発揮するが、インフルエンザ菌感染症においては気道感染を発症しやすくする増悪因子として作用することが明らかとなった。
|