研究課題
RNA ポリメラーゼβサブユニットをコードするrpoB遺伝子は、緊縮制御ネットワークの関連遺伝子である。細菌は栄養飢餓でアミノ酸が欠乏すると、タンパク合成が停止し、ppGpp を合成する。そしてこの合成されたppGpp がRNA ポリメラーゼβサブユニットやそのプロモーター領域に結合すると、遺伝子における転写活性が質と量の両面で変化し、その結果、病原性、薬剤耐性化および代謝経路の変化が生じることがわかりつつある。我々は、黄色ブドウ球菌のさまざまなrpoB 遺伝子の変異株を用いて表現型を検出したところ、増殖速度の低下、自己融解酵素の活性化、薬剤耐性化が認められた。さらに、抗生物質βラクタム剤、バンコマイシン、リネゾリド、ダプトマイシンの耐性化も見られ、それと相関して細胞壁の肥厚、自己融解酵素の活性化が見られた。そして我々は世界で初めて、rpoB 遺伝子変異が関与する新しいVancomycin-Intermediate Staphylococcus aureus (VISA)の表現型を検出し、slow-VISA (sVISA) と命名し報告した。sVISA はVISA よりVancomycin の耐性度が高く、増殖速度も遅くその表現型は不安定であることがわかった。sVISA は臨床分離VISA 株にも存在しており、Vancomycin 療法の際に重要な株であることが判明した。sVISA の耐性化メカニズムを SNP 解析で検討した結果、プリン/ピリミジン合成経路から、細胞壁合成経路の代謝に関わる遺伝子が関与している可能性を突き止めた 。
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