昨年度に引き続き、従来のDravet症候群に加えて、SCN1A関連性けいれん性疾患を対象に、SCN1A非翻訳領域の網羅的な検索を行った。2014年2月までに、SCN1Aおよび、PCDH19遺伝子変異解析で変異を認めないDravet症候群およびSCN1A関連性けいれん計237症例について、MLPA法を用いた解析を施行した。 その結果、7症例において、SCN1A翻訳領域を含むヘテロ欠失が認められた。これらの症例はSCN1A翻訳領域をターゲットとした既成のMLPAプローブを用いても理論上は検出可能であったが、MLPAプローブ1か所のみの欠失や結果の再現性の問題から、ヘテロ欠失かどうかが保留となっていた症例も含まれていた。また、SCN1A翻訳全領域を巻き込む体細胞モザイク欠失と考えられる症例が、複数例存在することが判明した。体細胞モザイクが疑われた症例は、アレイCGHによる体細胞モザイク欠失の検証とモザイク欠失領域同定を行った。また一部の該当症例においてはFISHによるモザイク欠失の確認を行い、体細胞モザイクが確認された。広範囲のヘテロ欠失が認められた症例やモザイク欠失が認められた症例はいずれもDravet症候群の診断基準を満たしており、疾患の重症度と変異型には明らかな相関関係は見られなかった。 一方、当初計画していたSCN1A非翻訳領域のみに欠失を認めるSCN1A症例については、237例中1例疑い症例が認められたが、MLPA欠失プローブが1か所のみであり、真の欠失かどうかを確認するため、現在直接シークエンス法により変異確認を行っている。
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