研究課題/領域番号 |
24791040
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
井上 祐三朗 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00456063)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 樹状細胞 / アレルギー / TSLP |
研究概要 |
平成24年度は、健康小児における、末梢血骨髄系樹状細胞(mDC)および形質細胞様樹状細胞(pDC)の、インフラマソーム活性化とアレルギー疾患の発症にかかわる細胞表面分子の発現について検討した。気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの既往のない12才児32名の末梢血をLPSで刺激し、mDCおよびpDCの活性型Caspase-1、TSLPレセプター発現をフローサイトメーターで解析した。 TSLPはmDCを刺激し、アレルギーの発症に重要なTh2細胞を誘導する。mDCにおいては、LPS刺激により活性型Caspase-1の増加を認め、その増加はmDC上のTSLPレセプター発現の変化と有意な逆相関を認めた。これらの変化は血清総IgE値との関連を認めなかった。このことから、LPSによるmDCのインフラマソームの活性化は、アトピー素因とは独立して、Th2の誘導を抑制する事が示唆された。 一方、pDCではTSLP刺激により制御性T細胞が誘導される事が報告されている。pDCにおいてもLPS刺激により活性型Caspase-1の増加を認めるが、その増加はpDC上のTSLPレセプター発現の変化とは有意な正相関を認めた。また、TSLPR発現量の変化は血清総IgE値と有意な逆相関を認めた。すなわちpDCにおいては、LPS刺激によるインフラマソームの活性化が強いこと、あるいはアトピー素因が弱いことが、TSLPレセプター発現増強と関連しており、アレルギーを抑制する制御性T細胞の誘導の促進と関連する事が示唆された。 アレルギー患者における解析は、現在症例を集めて解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究において、mDCおよびpDCにおけるLPS刺激によるインフラマソーム活性化が、TSLPレセプターの発現の変化を介して、アレルギー発症に関与する可能性が明らかとなってきた。複数の学会において成果の発表を行う事ができた。今後は、アレルギー患者における解析を、症例数を増やして行っていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患を有する小児患者を中心に、末梢血骨髄系樹状細胞および形質細胞様樹状細胞における、様々な刺激によるインフラマソーム活性化とアレルギー疾患の発症にかかわる分子の発現の関連を解析していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は試薬量を減らす工夫をしたため、研究費の未使用額が発生した。このため、平成25年度の解析検体数を増やすことが可能になった。 使用計画としては、末梢血樹状細胞を刺激培養し、フローサイトメーターで解析するための試薬を購入する。 また、気管支喘息の重症度を評価するために、呼気一酸化窒素を測定するための試薬を購入する。
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