研究課題
本研究では、アレルギー疾患における慢性炎症病態を明らかにするために、末梢血樹状細胞を用いた解析を行った。平成24年度は、末梢血骨髄系樹状細胞(mDC)および形質細胞様樹状細胞(pDC)の、インフラマソーム活性化とアレルギー炎症に関わる細胞表面分子の発現について検討し、mDCにおけるインフラマソーム活性化はTh2細胞の誘導を抑制することが示唆され、pDCにおけるインフラマソーム活性化は制御性T細胞の誘導を促進することが示唆された。平成25年度は千葉大学医学部附属病院小児科外来の患者において、アレルギー性炎症の程度と末梢血樹状細胞の活性化の関連を検討をおこなった。しかしながら、多くの気管支喘息患者の呼気NOは小児の正常範囲であり、アトピー性皮膚炎の悪化を認めている児も少数であった。専門病院でフォロー中の患者においては、適切な治療介入がされているためと考えられ、臨床的にアレルギー性炎症が強い集団をうまく同定できなかった。そこで、平成24年度の結果を踏まえ、アレルギー疾患をもつ児において、制御性T細胞の誘導に重要と考えられる活性化pDCをの検討を行った。牛乳アレルギーに対する経口免疫療法が施行され牛乳摂取が可能となった9名の児を対象に、末梢血活性化pDCの推移を検討したところ、経口免疫療法開始前と比較して、治療2か月後および12か月後に統計学的に有意なpDCの増加を認めた。以上の結果から、食物アレルギーに対する免疫療法の機序において、末梢血pDCの増加が関与していることが示唆された。研究期間全体としては、研究開始前にはmDCにおけるインフラマソーム活性化の関与を予想していたが、pDCの関与を示唆する結果が多く得られた。今後は小児アレルギー疾患の病態におけるpDCの関与についてさらに検討していきたい。
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