研究課題
Kenny-Caffey症候群(KCS)は、著明な低身長、副甲状腺機能低下症、長管骨の骨膜肥厚と髄質の狭小化、大泉門の開大と閉鎖遅延、目の異常を伴う症候群である。新生児期から低カルシウム血症によりけいれんを起こし、小児期からの著明な成長障害により成人身長が120-150cmの低身長となる。本症候群は2つの型が知られており、精神発達遅滞を伴い常染色体劣性遺伝の1型と、精神発達正常で常染色体優性遺伝をする2型に分類される。KCS1型は、1998年に連鎖解析から染色体1q42-43に責任座位があることが報告され、2002年にTBCE(tubulin chaperone E)遺伝子が原因であることが明らかにされた。一方、KCS2型は、非常に稀な疾患であるため、長年の間原因が不明であった。そこで、本症の患者情報を全国から収集し、国内で報告のある5例のうち4例について、健常家族を含めた検体を13検体取得し、次世代シークエンサーを用いた解析を行った。そして、最終的な成果として、2013年、エクソーム解析により、KCS2型の原因がFAM111A遺伝子であることを同定した。さらに、変異を同定した日本人KCS2型の4例では、全例同じミスセンス変異がde novoに生じており、R569H変異がKCS2型のホットスポットであることを見出した。また、患者はヘテロ接合性変異で発症していることから、優性遺伝あるいは散発性に起こる疾患であることを証明した。ほぼ同時期に、海外の独立したスイスのグループからの研究で同様の結果の報告があり、FAM111AがKCS2型の原因遺伝子であること、及びR569H変異がKCS2型に特徴的な変異であることが確定した。さらに、この原因遺伝子同定をする中で、これまでKCSの症状としてあまり文献的な報告のなかった低マグネシウム血症を全例に見出して、低マグネシウム血症がKCS2型の新たな症状であることを報告した。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Bone and Mineral Research
巻: 29 ページ: 992-998
doi: 10.1002/jbmr.2091.