研究課題
従来、先天性心疾患は遺伝的因子と環境的因子の相互作用により生じると漠然と理解されてきていたが、分子遺伝学および疫学の発達により、遺伝的因子についての詳細なメカニズムが明らかになりつつある。心房内臓錯位症候群は臓器の左右軸の異常により生じ、重症心奇形を伴うことが多く、外科技術が進歩した今日でも予後不良である。これまでに、動物モデルにおいて、左右軸の決定に関わる遺伝子が80以上見つかっているが、ヒトの心房内臓錯位症候群における遺伝子関与の仕組みはまだ不明な点が多い。本研究では心房内臓錯位症候群の疾患関連遺伝子の検索のため、右側相同心を有する患者とその両親、6家系18検体の、エクソーム解析を行った。エクソーム解析で抽出されたVariantからdbSNPに登録されている多型やsynonymous SNVを除くなどの処理を行い1家系当たり平均764のvariantを選定した。これらの中からDe novo mutationを想定した解析により108遺伝子、Compound heterozygosityを想定した解析により46遺伝子、合計154の候補遺伝子を同定した。今後、これのらうち複数の家系において変異を認めた11遺伝子、胚の発生に関わることが知られている4遺伝子、線毛運動に関わる可能性のある5遺伝子について機能解析および症例増加による候補遺伝子の絞込みを行っていく予定である。特に左右軸の決定において重要な役割を担う事が知られているNodal-Lefty-Pitx2 moduleと相互作用を有する遺伝子の変異も見つかっており、この遺伝子については、Validation cohortにおける変異の検索を行う。
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