研究課題
エピジェネティクス機序による細胞の形質転換について、ヒト肺高血圧における性ホルモンの影響に着目した。最近開発されたヒト類似の病変を呈するラット肺高血圧モデルを用い、エストロゲン投与下での肺高血圧病変形成について、早期投与下と後期投与下の2群について、肺高血圧病変形成の実験的肺高血圧評価、組織学的評価を行った。肺高血圧モデルは、血管内皮増殖因子受容体阻害剤Sugen5146(20mg/kg)を皮下投与し、続いて低気圧性低酸素(1/2気圧、10%酸素相当)に3週間暴露することによって作成した。エストロゲン早期投与群は、肺高血圧モデルの作成1週間前に卵巣を摘出し、同時に浸透圧ポンプを皮下に留置することによって、75μg/kg/dayのestradiolを4週間持続投与した。後期投与群は、肺血圧モデルを作成後、75μg/kg/dayのestradiolを5週間持続投与した。エコー下で心拍出量や左心機能、肺高血圧の評価を行い、その後圧モニター下でカテーテルを留置し、右心室圧と大動脈圧を測定した。血行動態を評価後、心肺組織を摘出し組織評価を行った。組織評価はElastic Van Gieson法による染色で血管閉塞閉塞程度や血管内腔の細胞性増殖程度を評価した。その結果、早期投与群では肺高血圧病変は抑制され、後期投与群では抑制されないという知見を得た。また、病変部位から平滑筋培養を試み、各レベルの血管からαSMA陽性細胞の培養法を確立した。これらの結果から、肺高血圧の病変形成には、エストロゲンが関与していることが示され、その投与時期が重要であるとう知見を得ることができた。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)
Am J Physopl Lung Cell Mol Physiol.
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