研究課題/領域番号 |
24791060
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中川 卓 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40457073)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | spinal muscular atrophy / SMA / splicing / SMN2 |
研究概要 |
脊髄性筋委縮症(Spinal muscular atrophy)はSMN1遺伝子の異常から発症する致死的な遺伝性神経筋疾患である。現在、有効な治療法は確立されていない。治療法としてSMN1遺伝子とわずか5塩基のみが異なるSMN2遺伝子の活用、つまり「SMN2遺伝子エクソン7のスプライシング正常化」を目指した治療法が有望とされている。 申請者は、SMN2遺伝子エクソン7近傍の配列を組み込んだミニ遺伝子を作成した。ミニ遺伝子の作成にあたってはHabara Y et al. J Biochem 2008.143. 303-10の方法を用いた。申請者は、このミニ遺伝子とHeLa細胞を用いたin vitro スプライシング解析系において、「SMN2遺伝子エクソン7のスプライシング正常化」する薬剤の探索を試みた。その結果、低分子化合物Aが、濃度依存性にSMN2遺伝子のエクソン7スプライシングを正常化する驚くべきデータを得た。この結果をもとに、コンピュータを用いて化合物Aに類似しており「SMN2遺伝子エクソン7のスプライシング正常化」効果が期待される候補化合物を理論的に割り出した。この中から、常温で安定しており揮発性、及び発火性がないもの、生体毒性が弱いと予想されるもの、などの基準で数十種類を候補薬として選定した。最終的な候補化合物の中から、順番にin vitro スプライシング解析を行い「SMN2遺伝子エクソン7のスプライシング正常化」効果を測定している。現段階において、低分子化合物Aと比べてスプライシング正常化効果がとびぬけて高いものはまだ見つかっていないが、ひきつづき最善の低分子化合物を探索していく。この試みはスプライシングのメカニズムを解き明かす可能性があり、さらにこの研究成果は、世界の何万ものSMA患者の治療法の確立に直結し得るものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療効果が高い低分子化合物の中でも、できるだけ安全性が高いと予想されるものを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、リード化合物と類似化合物のin vitro スプライシング解析系を用いた効果評価を逐次実施する。これらの結果を集積して、コンピュータアルゴリズムによって、最適の構造を有する化合物を創出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
低分子化合物の購入および創出、in vitroスプライシング解析、毒性評価のための費用が必要となる。
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