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2013 年度 実施状況報告書

TGF-β1溶出性グラフトによる先天性心疾患における肺循環

研究課題

研究課題/領域番号 24791067
研究機関徳島大学

研究代表者

阪田 美穂  徳島大学, 大学病院, 特任助教 (80532514)

キーワード肺高血圧 / 肺循環 / 平滑筋細胞 / TGF-β
研究概要

乳幼児において肺循環に異常を来たした病態、とくに先天性心疾患症例の肺動脈の低形成や出生後の循環動態に伴う肺循環障害の進行は予後に大きく影響していることが多い。開心手術前後および将来にわたって肺血管抵抗上昇や肺高血圧が心不全の原因として進行する場合もある。このような症例においては、肺血管組織は、血管内皮の肥厚、平滑筋細胞の増殖と遊走、叢状変化など肺高血圧に伴う病理学的変化、血管リモデリングが進行している。肺動脈性肺高血圧は近年では一酸化窒素吸入、Phosphodiesterase-5 阻害剤、エンドセリン受容体拮抗剤などの薬剤が開発され治療に一定の効果がえられているものの未だに根治的な加療の方法は見つかっていない。
本研究では、先天性心疾患小児において、従来より最も頻繁に人工血管や補填物として使用されるexpanded polytetrafluoroethylene (ePTFE)を利用して、Transforming Growth Factor-β1(TGF-β1)溶出性グラフトを考案し、肺高血圧に対する臨床的、病理学的な有用性を検討することである。肺動脈平滑筋細胞の培養およびTGF-β刺激による血管平滑筋細胞の遊走、増殖などを観察し、TGF-β刺激による肺高血圧への進展抑制と改善に関しては合致するような経過と結果が得られた。肺高血圧ラットを用いて、肺血管病変の変化をTGF-β1添加ePTFEグラフト群と非添加グラフト群の2群間で比較を行っている。通常(TGF-β1非含有)のePTFEを肺動脈に移植したラットにモノクロタリンを投与することによって肺高血圧症を惹き起こし、肺動脈圧および右室心筋重量を測定した。次に、TGF-β1添加ePTFEグラフトを移植したラットについて、同様にモノクロタリン負荷を施行し、肺高血圧の重症度・右室心筋重量・肺血管病変への影響を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、先天性心疾患小児において従来より最も頻繁に人工血管などに使用されるexpanded polytetrafluoroethylene (ePTFE)を利用したTransforming Growth Factor-β1(TGF-β1)溶出性グラフトを考案し、その臨床的有用性を検討することを目的とした。モノクロタリンを投与した肺高血圧ラットから採取した血管平滑筋細胞の培養において、TGF-βの投与が遊走、増殖の抑制に有用であるか否かを検討した。コントロールに比較して、TGF-βで前処置したものは肺動脈平滑筋細胞の増殖と遊走を抑制した。最終的には小児の手術で最も頻繁に使用される従来より最も頻繁に人工血管や補填物として使用されるexpanded polytetrafluoroethylene (ePTFE)をプラットホームとして溶出することが可能なものとして肺全体へ同作用を行き届けさせることを考慮している。

今後の研究の推進方策

胎児牛血清やTGF-β1・PDGF・VEGFなどの増殖因子の添加の下で、細胞の遊走能・増殖能を検討する。サイトカインが血管内皮細胞、平滑筋細胞の増殖に関与することは既に多くの報告がなされているが、肺動脈に関してはその効果の報告は少ないため、本研究で確認
することとする。
ePTFEにTGF-β1を吸収させ、徐放させるコーティングについて研究を検討している。ePTFEは連続性小孔を有するポリマーであるため、容易に薬剤を吸収することが予想されるが、徐放するようにするには工夫が必要である。
現在、ラット肺動脈にePTFEの補填を行い、コントロール群および肺高血圧群での違いについて検討する予定としている。

次年度の研究費の使用計画

平成26年3月納品となり支払いが完了していないため、次年度使用額が生じた。
平成26年4月に支払い完了予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Assessment of Two-Component Ventricular Septum: Functional Differences in Systolic Deformation and Rotation Assessed by Speckle Tracking Imaging.2014

    • 著者名/発表者名
      Hayabuchi Y, Sakata M, Kagami S.
    • 雑誌名

      Echocardiography

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      doi: 10.1111/echo.12484

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Left atrial volume change throughout the cardiac cycle in children with congenital heart disease associated with increased pulmonary blood flow: evaluation using a novel left atrium-tracking method.2013

    • 著者名/発表者名
      Sakata M, Hayabuchi Y, Inoue M, Onishi T, Kagami S
    • 雑誌名

      Pediatr Cardiol

      巻: 34 ページ: 105-112

    • DOI

      doi: 10.1007/s00246-012-0395-4.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ratio of early diastolic tricuspid inflow to tricuspid lateral annulus velocity reflects pulmonary regurgitation severity but not right ventricular diastolic function in children with repaired Tetralogy of Fallot.2013

    • 著者名/発表者名
      Hayabuchi Y, Sakata M, Ohnishi T, Inoue M, Kagami S.
    • 雑誌名

      Pediatr Cardiol

      巻: 34 ページ: 1112-1117

    • DOI

      doi: 10.1007/s00246-012-0612-1.

    • 査読あり
  • [学会発表] カテーテル治療後に出現し、摘出術を要したFibromyxoid excrescence of aortic valve2014

    • 著者名/発表者名
      阪田美穂, 早渕康信, 香美祥二
    • 学会等名
      第25回日本Pediatric Interventional Cardiology研究会
    • 発表場所
      ブエナビスタ松本(長野県)
    • 年月日
      20140123-20140125
  • [学会発表] 進行性に3枝ブロックを認め、ペースメーカー治療を要した新生児例2013

    • 著者名/発表者名
      阪田美穂, 早渕康信, 香美祥二, 菅野幹雄, 北市隆, 北川哲也
    • 学会等名
      第18回日本小児心電学研究会
    • 発表場所
      宮崎県医師会館(宮崎県)
    • 年月日
      20131129-20131130
  • [学会発表] 肺欝血・肺静脈拡大を反映する心エコー検査拡張能指標の検出-心室中隔欠損による左心前負荷増加群における検討-2013

    • 著者名/発表者名
      阪田美穂, 早渕康信, 香美祥二
    • 学会等名
      第49回日本小児循環器学会総会・学術集会
    • 発表場所
      国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都)
    • 年月日
      20130711-20130713

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公開日: 2015-05-28  

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