研究概要 |
胞巣型横紋筋肉腫は予後不良の疾患であり、新規治療標的の探索が急務である。我々は、マウス筋芽細胞(C2C12)においてPAX3-FKHR(P3F)安定発現による遺伝子発現変化を発現アレイにて比較し、横紋筋肉腫(RMS)の造腫瘍性に関与する候補遺伝子として、Rps6ka1(Rsk1)を抽出した。p90 RPS6KA1(RSK1)はRAS-ERK経路の下流に位置し、ERKによるリン酸化を受けて活性化するserine/threonine kinaseである。我々は、ヒト横紋筋肉腫細胞株を用いて、RSK1の機能解析を行い、新規治療標的としての可能性について検討したので報告する。RMS腫瘍検体におけるRSK1の発現はリアルタイムPCRにより、解析を行った。RMS細胞株(Rh30, Rh41(P3F陽性RMS), RD(P3F陰性RMS))を用いて、RSK1のsiRNAを用いたノックダウンやRSK1阻害剤(BID1870)を使用し、機能解析を行った。RMS腫瘍検体の検討では、正常骨格筋に比べてRSK1の高発現を認めた。Rh30細胞株、RD細胞株を使用し、siRSK1を行ったところ、共に1%ウシ胎児血清添加培地で増殖抑制が認められた。RSK阻害剤であるBI-D1870は、Rh30、Rh41、RD細胞株において、IC50 2-3μMで増殖を抑制した。RSK1は、RAS-ERK経路のeffectorとして機能し、横紋筋肉腫において、増殖に関与する可能性が示唆された。
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