研究課題/領域番号 |
24791081
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
榊原 崇文 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60570075)
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キーワード | 限局性皮質異形成 / 難治性てんかん |
研究概要 |
難治性てんかんの原因として、小児期に頻度が高い限局性皮質異形成(FCD:Focal cortical dysplasia)に焦点を当て、その発生病態およびてんかん原性獲得の病態解明を行う。FCDの発生には、遊走と分化の異常が想定されている。また、神経幹細胞の分化制御機構は、エピジェネティクス機構が関与し、時間的・空間的に厳密に制御されている。そこで、エピジェネティクス制御機構が、FCD形成および神経細胞機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。難治性てんかんの発生病態解明は、科学的根拠に基づいた治療の開発に発展することが期待できる。今年度は、培養ヒト神経芽細胞 SH-SY5Yを用いた異形細胞形成の解析を試みた。研究①としてSH-SY5Yを10uM retinoic acid(RA)によって分化誘導を行い、分化誘導の様々な時期にHDAC阻害剤である10mM valproic acid(VA)を培地に加えSH-SY5Yから誘導された神経細胞の形態評価を試みている。研究②としてGFAP発現ベクターを作成し、SH-SY5Yへトランスフェクションを行い、SH-SY5Yの分化誘導系における様々な時期にGFAP発現を行い、異形細胞形成の解析を試みている。神経幹細胞では、glial fibrillary acidic protein(GFAP)の発現がグリア細胞への分化へ関与していることがわかっており、神経細胞分化異常へのGFAPの関与を明らかにすることが期待できる
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度の研究①と②について、当初培養ヒト神経芽細胞としてNT2を予定していたが、SH-SY5Y細胞を使用することとなった。このため細胞培養、分化誘導、細胞溶解や細胞染色の条件設定に時間を要していること、さらに染色細胞を撮影する顕微鏡付属機器の老朽化に伴う機器の更新に時間を要したため研究①の進行が遅延している。Tet-On 3G Inducible Expression Systems (Clontech Laboratories, Inc)を使用して、培養ヒト神経芽細胞による異形細胞形成の解析を開始している。pCMV-Tet3Gと作成したGFAP発現ベクター(pTRE3G-ZsGreen1)をSH-SY5Yにトランスフェクションを2段階で行う必要がある。SH-SY5Yへは規定のprotocolでトランスフェクションされないため、様々な条件設定を試みている。一段階目のpCMV-Tet3GのSH-SY5Yへのトランスフェクションは確認できたが、GFAP発現ベクターのトランスフェクションに時間を要しており、研究②の進行が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、前年度に引き続き培養ヒト神経芽細胞SH-SY5Yを用いて、分化誘導を行い、各分化段階におけるVAによるヒストンアセチル化阻害による異形細胞形成の解析、様々な条件(導入量、時間、トランスフェクション試薬など)設定調整を行って、GFAP発現ベクターのSH-SY5Yへの導入を試み、GFAP発現による異形細胞形成の解析を行う。さらにこれらの阻害剤(siRNAなど)による回復実験を行い、神経細胞分化過程におけるGFAPの関与およびエピジェネティクス機構の障害によるFCD形態形成病態を明らかにする。そして、誘導された神経細胞間における機能的な違いについても解析を行い、てんかん原生形成の病体を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に計画した研究内容で、研究方法の変更、それに伴う手技の調整があり、研究に遅延が生じたため、期間内に予定した費用を使用することができなかった。このため、次年度へ繰越が必要となった。 本年度は、前年度に引き続き培養ヒト神経芽細胞SH-SY5Yを用いて、分化誘導を行い、各分化段階におけるValproic acidによるヒストンアセチル化阻害による異形細胞形成の解析、様々な条件(導入量、時間、トランスフェクション試薬など)設定調整を行って、GFAP発現ベクターのSH-SY5Yへの導入を試み、GFAP発現による異形細胞形成の解析を行う。さらにこれらの阻害剤(siRNAなど)による回復実験を行う。これにかかる培養液、試薬、抗体などの購入費用を予定している。
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