研究課題
IgA腎症は,小児,成人において最も頻度の高い慢性糸球体腎炎であり,腎不全の主要原因である。分子形態に異常のあるIgAが腎メサンギウムに沈着することによって惹起される炎症が疾患の本体と考えられるが,その炎症進展機序については不明な点が多い。私達は,これまでに重症小児IgA腎症において,治療により腎メサンギウムのIgA沈着が消失し,かつ消失例は非消失例に比べ腎予後が良いことを明らかにし,IgA沈着を規定する因子と炎症進展との関係が重要であることを示した。そこで,小児IgA腎症におけるIgA沈着・消失に関与する因子の一つであると考えられるIgA受容体(FcαR,ASGR,Fcα/μR,トランスフェリン受容体)の発現とメサンギウム増殖の程度との関係を小児IgA腎症患者から得られた腎生検検体を用いて検討した。IgA受容体関連遺伝子の発現をreal-time PCRで検討した結果,Fcα/μRの発現がコントロールと比較して著明に増加しており,さらにFcα/μRの発現量とメサンギウム増殖の程度に有意な正の相関を認めた。この所見はさらに免疫染色などにより受容体発現部位の確認が必要であるが,疾患特異的病態に関与している事が示唆され興味深い。その他の受容体は一定の傾向を示すものもあったが明らかではなかった。
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