我々は、低拘束性な脳機能検査装置であるfNIRS用いて、小児ADHDの多動・衝動性や不注意症状に関わる脳機能低下領域が、右前頭前野、右下頭頂葉にある事を可視化した。さらに、抑制機能に関与する認知機能課題を使用した計測システムは、約95%の小児ADHDに計測可能であり、かつ、個人レベルでADHDを高精度に弁別可能であると考えられた。次に、申請者はADHD治療薬有効例を対象とし、脳機能学的薬理効果を検討するため、無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。その結果、治療有効例のADHDにおいて、多動・衝動に関与する特異的脳機能低下が、ADHD治療薬内服後に回復する過程を可視化することに成功した。
|