研究課題/領域番号 |
24791084
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
早瀬 朋美 自治医科大学, 医学部, 助教 (50433587)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ランゲルハンス細胞組織旧称 / Toll様受容体 |
研究概要 |
ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は、未熟樹状細胞の性質を持つLCH細胞が異常増殖し、組織破壊を起こす疾患である。LCH細胞の増殖機序として、BRAF遺伝子変異が報告され腫瘍性増殖の説が唱えられたが感染症等による反応性増殖の説もあり未だ不明点が多い。 LCHの病変部位には、LCH細胞のほかTリンパ球や好酸球、マクロファージ、破骨細胞様巨細胞など様々な炎症細胞が浸潤している。LCH患者血清では、IL-12やIL-18、IL-8、CCL2、CXCL1、CXCL9などの炎症性サイトカイン・ケモカインの異常高値が認められ、病変部位に浸潤しているこれら炎症細胞の相互刺激によりサイトカイン/ケモカインストームが形成されると考えられる。LCH細胞は未熟樹状細胞の性質を持つため、樹状細胞に発現し病原体を認識するToll様受容体(Toll-like receptor:TLR)が発現しこの炎症性サイトカイン/ケモカインストーム形成に重要な働きをしていると推定される。そこで、LCH病変におけるTLRの発現について解析した。 LCH細胞と正常皮膚ランゲルハンス細胞のTRL発現を比較するためGene Expression Omnibus: accession number GSE35340、およびGSE16395をTLRに着目して解析した。LCH細胞にはTLR1,2,4,6,7,8の発現が増加していた。 次にLCH病変のパラフィン切片のTLRとCD1aの免疫染色を行った。TLRは感染症に伴う反応性増殖について関連が考えられるTLR3、4を選択したがいずれのTLRもCD1陽性細胞では陰性だった。TLR3は上述の解析に矛盾せずTLR4は発現絶対量が少ないため免疫染色の感度以下だったと考えた。LCH細胞ではTLR1,2,6,7,8の発現絶対量が増加し病態形成に関与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度中にGene Expression Omnibus: accession number GSE35340、および、GSE16395をLCH細胞と正常LC細胞におけるTLRに着目して解析し、LCH病変のTLR免疫染色を行いLCH細胞ではTLR1,2,6,7,8が発現絶対量の増加により病態形成に関与している可能性が考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
LCH細胞に高発現していることが判明したTLR1,2,6,7,8について免疫染色を行う。 その中でLCH細胞に発現絶対量の増加が確認できたものについて炎症性疾患との関連が報告されているSNPs(TLR1:rs5743594、TLR2:rs5743704、TLR5:rs5744174 など)について解析する。解析にはTaqman SNP Genotyping assayで提供されているSNPsについてはプライマー、プローブセットを使用し、それ以外のものはプライマー、プローブの設計を行う。LCH患者と正常対照において頻度が異なるSNPsを統計学的に解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
抗TLR抗体(300,000)、抗CD1a抗体(50,000)、単核球分離試薬/細胞凍結防止剤/凍結チューブ/コニカルチューブ/ピペットチップ/培養フラスコ/ピペット(\200,000)、DNA抽出キット(\200,000)、TaqMan SNP Genotyping Assays(\500,000)、液体窒素/Co2(\100,000)、エタノール/キシレン(\50,000)、ラテックスグローブ(\10,000)の購入費。 日本小児血液がん学会参加費(\15,000)、旅費(\75,000)
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