研究課題/領域番号 |
24791085
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
長嶋 雅子 自治医科大学, 医学部, 助教 (70438662)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | fNIRS / ADHD |
研究概要 |
本研究計画の目的の1つである、ADHD児の抑制機能における前頭前野の神経基盤を明らかにするために、fNIRSによる健常児16名とADHD児16名(人数、年齢、性別マッチ)の前頭前野の活性を調べる検討を行った。また、ADHDの治療薬である塩酸メチルフェニデート(MPH)の服用前後における前頭前野の活性を調べるために二重盲検査プラセボ試験を行った。健常群で認めた右前頭前野の脳機能活性が、ADHD児の治療前には活性がなく、治療薬であるMPH服用後にのみ認められた。このことから、fNIRSを用いた我々の解析系が、ADHDの客観的診断、効果予測因子の判定法として確立される可能性を示唆した。(文献1,2) 発表論文 1 Monden Y.Dan H.Nagashima M. et al: Right prefrontal activation as a neuro-functional biomarker for monitoring acute effects of methylph enidate in ADHD children: an fNIRS study. Neuroimage Clinical 2012; 1: 131-40 2 門田行史、檀はるか、長嶋雅子 他;小児 ADHDに対するMPH 投与効果のNIRSによる評価法の探索・日本薬物脳波学会雑誌 2012; 13:57-66
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、ADHDにおける遺伝子多型解析とニューロイメージング解析を用いて、ADHD児の表現型と病因遺伝子と脳機能の病態との関連を解明する事である。 我々は、健常群とADHD児における抑制機能についての脳機能解析を実施し、報告した(文献1)。現在、ADHDにおける抑制機能障害以外の機能障害、すなわち注意機能障害について、健常児13名、ADHD児13名(人数、年齢、性別マッチ)の注意機能課題遂行時のfNIRS計測による脳機能解析を終了し、報告予定である。また、ADHDの児のMPH以外の治療薬である、アトモキセチン(ATX)の服用前後における前頭前野の活性を調べる予定である。これらにより、ADHDの表現型を含めた客観的診断、薬剤別の効果予測因子の判定法の確立に貢献できる可能性がある。 1 Monden Y.Dan H.Nagashima M, et al: Right prefrontal activation as a neuro-functional biomarker for monitoring acute effects of methylph enidate in ADHD children: an fNIRS study. Neuroimage Clinical 2012; 1: 131-40
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、ADHDにおける遺伝子多型解析とニューロイメージング解析を用いて、ADHD児の表現型と病因遺伝子と脳機能の病態との関連を解明する事である。 我々の先行研究により、ADHDの脳機能低下を抽出する解析手法の基盤は確立された。この解析手法を用いて、我々の先行研究のADHDにおける抑制機能障害、MPH内服による脳機能の改善に加え、ADHDにおける注意機能障害、ATX内服による脳機能の改善についての検討の実施が可能である。そのことにより、ADHDにおける表現型別の脳機能の病態、それぞれの治療薬の効果について解明できる可能性がある。 さらに、遺伝子多型解析のサンプルを集めて解析を開始し、病因遺伝子の解明を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に際して、被験者への刺激提示に必要な消耗品や、大容量データのバックアップのための記録メディアの購入に10万円程度を予定している。遺伝子多型解析に必要な消耗品に40万円程予定している。ポストドクターの人件費として、年間10万円程度を予定している。研究成果の発表のため、国内外の学会参加や論文作成を行うにあたり、出張旅費や論文の英文校正、論文投稿掲載に費用が年間で40万円程度発生する。
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