研究課題
本研究計画の目的の1つは、ADHD児の抑制機能障害、注意機能障害の神経基盤を明らかにすることである。そのために、次のfNIRSによる検討を報告した。(1)抑制機能課題を用いて、fNIRSによる健常児とADHD児(人数、年齢、性別マッチ)の脳活性を調べた。また、ADHD治療薬の塩酸メチルフェニデート(MPH)とアトモキセチン(ATX)服用前後の脳活性変化を二重盲検査プラセボ試験で調査した。健常群で認めた右前頭前野の脳活性が、ADHD児の治療前には活性がなく、MPH、ATX服用後にのみ認められた(文献①②)。(2)注意機能課題を用いて、fNIRSによる健常児とADHD児(人数、年齢、性別マッチ)の脳活性を調べた。また、MPHとATXの服用前後における脳活性変化を二重盲検査プラセボ試験で調査した。健常群で認めた右前頭前野と右頭頂洋の脳活性が、ADHD児の治療前には活性がなく、MPH服用後には右前頭前野のみ、ATX服用後には右前頭前野と右頭頂葉の活性が認められた(文献③④)。MPHは前頭前野に関与するドパミンネットワークに親和性が強く、ATXは前頭前野と頭頂葉に関与するノルアドレナリンネットワークに親和性が強いとされる。注意機能課題におけるMPHとATXの活性部位の異同は関与するネットワークの違いをfNIRSで可視化したことを示唆した。上記から、fNIRSを用いた我々の解析系は、ADHDの客観的診断、機能障害別の薬物効果予測因子判定法の確立の可能性を示した。【発表論文】①Monden Y.Dan H.Nagashima M. et al: Neuroimage Clinical 2012; 1: 131-40 ②Masako Nagashima, Yukifumi Monden et al:NeuroImage:Clinical 2014;6:192-201 ③Masako Nagashima, Yukifumi Monden et al: Neurophotonics 2014;1(1):015001 1-15 ④Masako Nagashima, Yukifumi Monden et al:Neurophotonics 2014;1(2):025007 1-14
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (4件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Neurophotonics
巻: 1 ページ: 025007 1-14
10.1117/1.NPh.1.2.025007
NeuroImage:Clinical
巻: 6 ページ: 192-201
10.1016/j.nicl.2014.09.001
巻: 1 ページ: 015001 1-15
10.1117/1.NPh.1.1.015001
薬物脳波学会雑誌
巻: 15 ページ: 33-45
http://ped-brain-lab.xii.jp/wp/