研究実績の概要 |
3年計画の本研究計画では、まず初年度(H24年度)に、解析対象である新規TSH受容体変異p.V711FfsX18がプロテアソーム依存的なたんぱく質分解を受けること、このたんぱく質不安定性は、本フレームシフト変異で生じるC末端側54残基の欠失ではなく18アミノ酸残基の付加により惹起されたものであることを明らかにし、次年度(H25年度)には、この18アミノ酸残基のうちたんぱく質不安定性のを規定するものはロイシン、イソロイシン、バリンに代表される脂溶性残基の割合の高さであることを明らかにしてきた。最終年度となる本年度では、TSH受容体のC末端テイルに生じるフレームシフト変異のうち、V711FfsX18のような不安定性を惹起する変異がどの程度生じるかを検証する目的で、C末端テイルに生じうる全ての異常フレームを網羅するようなフレームシフト体8種(700fsX19, 700fsX29, 718fsX23, 728fsX13, 740fsX3, 742fsX6, 743fsX24, 747fsX29)を系統的に作製した。また、これらのフレームシフト変異に活性異常が認められた場合、その異常が正常配列の喪失に伴うものか、(V711fsFX18と同様に)異常配列の獲得によるものなのかを区別するため、フレームシフトの起点となる残基でのナンセンス変異5種(700X, 718X, 728X, 740X, 727X)を作製した。これら計13種の人工変異体のTSH依存的cAMP活性を現在計測中であり、これまでの予備実験でのデータでは、fs配列の付加に伴うと考えられる受容体機能低下はV711Ffsx18以外のフレームでは観察されなかった。
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