先天性甲状腺機能低下症患者に認めたTSH受容体変異V711FfsX18を解析した。本変異体はプロテアソーム依存的なタンパク質分解を受けるが、その説明として (1) C末端側正常54残基の喪失 (2) C末端への17残基異常配列の付加 の2つの説明を考えた。54残基欠失のみ生じる人工変異体V711XのcAMP産生能は保たれており(1)は否定的であった。また、緑色蛍光たんぱく質とルシフェラーゼたんぱく質にそれぞれ異常配列を付加したところ、いずれも著明な活性低下を観察した。以上は(2)を支持してあり、変異の影響で付加された17残基の異常配列がV711Ffsx18のたんぱく質不安定性の原因と結論した。
|