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2012 年度 実施状況報告書

TSH受容体とDUOX2の二重変異は先天性甲状腺機能低下症の病因となりうるか?

研究課題

研究課題/領域番号 24791088
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

諏訪内 亜由子  慶應義塾大学, 医学部, その他 (90383851)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード遺伝 / 甲状腺
研究概要

本研究では「片アリル性TSHR変異保有者の先天性甲状腺機能低下症(CH)発症要因の一つに、他遺伝子に同時に変異を保有することが関与する」との作業仮説を立て以下を行った。
(1)主対象集団(片アリル性TSHR変異保有者)設定のための予備的検討;同意の得られた日本人CH患者401名を対象とし、PCR-直接シーケンス法によるTSHR遺伝子解析を行い片アリル性TSHR変異陽性者を27名同定した。
(2)片アリル性TSHR変異保有者における片アリル性DUOX2変異保有の頻度の評価;(1)の27名における片アリル性DUOX2変異頻度(あ)と、一般集団における片アリル性TSHR・DUOX2二重変異保有頻度(い)の比較を行った。(2-i)(あ)の直接推定;主対象集団27名にDUOX2遺伝子解析を行い、片アリル性TSHR・DUOX2二重変異保有者を4名同定した。(2-ii)(い)のHardy-Weinberg平衡式による間接推定;永続性および一過性CHの両アリル性DUOX2遺伝子変異頻度より片アリル性DUOX2変異頻度を1/67と算出した。一方、片アリル性TSHRの変異頻度は既報より1/172であるため、(い)は1/11524(1/172×1/67)と算出した。(2-iii)(あ)と(い)の割合の差の統計学的検定;片アリル性TSHR変異頻度は患者集団で6.7% (27/401)、一般集団で0.58% (1/172)であった。片アリル性二重変異頻度は患者集団で1.0% (4/401)、一般集団で0.0087% (1/11524)であり患者集団で有意に高かった。
(3)発現実験系を用いた病的意義の検証 (3-i) DUOX2変異体単独発現での変異DUOX2分子の機能評価;HEK293細胞を用いた一過性発現系において、DUOX2の新規変異について酵素活性である過酸化水素産生能を評価し機能低下を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究テーマ「片アリル性TSHR変異保有者の先天性甲状腺機能低下症(CH)発症要因の一つに、他遺伝子に同時に変異を保有することが関与する」の証明として、一般集団と比較して、CH群で明らかに片アリル性TSHR変異保有率および片アリル性TSHR・DUOX2二重変異保有率が高いことを統計学的解析により示すことができた。
また、発現実験系を用いた病的意義の検証も計画書(3-i)までの結果を得ており、全計画の70%は達成できていると考える。また、このことは、当初の研究計画で掲げた平成24年度の進行度どおりである。今後は、病的意義の検証をさらに進めていきたいと考える。

今後の研究の推進方策

当初の計画どおりTSHR-DUOX2重発現での甲状腺ホルモン合成動態の再現(計画書(3-ii) )にとりくみたいと考えている。具体的には、内因性TSHR発現のないHEK293細胞を用いた一過性発現系においてTSHRとDUOX2の発現ベクターを重トランスフェクションし、TSH刺激下での過酸化水素産生能を評価する。これは未だ確立された方法がなく、系の確立に時間を要することが予想される。

次年度の研究費の使用計画

未使用額の発生は、効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。翌年度は、培養細胞を使用する発現実験を中心に行う予定であり、高額な試薬等が必要になるため、その購入に充てる予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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