研究課題
若手研究(B)
ゲノムコピー数異常を示した発達障害患者から採取した皮膚線維芽細胞を用いて疾患iPS細胞を樹立し、神経系細胞に分化誘導させ、分化の過程毎に網羅的な遺伝子発現解析を行うことなどによりゲノムコピー数異常が発達障害を来たすメカニズムの解明を行うことが本研究の目的である今年度は、①疾患患者からiPS細胞を樹立すること、②iPS細胞を目的組織である神経系細胞に分化誘導させること、③分化誘導の過程を追って遺伝子発現解析を行うことを目指し、目的通り実施できた。神経細胞遊走障害による発達障害を来した患者において、正常対象と比べて著明に発現が変化している遺伝子のうち、機能未知であるが、先行研究によって細胞遊走との関連が示唆されている遺伝子に注目した。そこで別の神経細胞遊走障害を示す患者からもiPS細胞を樹立し、神経系細胞への分化誘導過程における当該遺伝子の変化を解析したところ、同様の結果が得られた。この遺伝子は神経系への分化誘導の過程で発現が高くなること、病理解析で、神経細胞の遊走過程にある胎児脳で発現していることから、神経細胞の遊走に深く関わる遺伝子であると考えられた。次年度以降さらに詳細に解析する予定である。
2: おおむね順調に進展している
今年度は①疾患iPS細胞の樹立と検疫、②遺伝子発現の網羅的解析、を行う計画であり、ほぼ当初計画どおり遂行できている。
2年目以降、異常な発現パターンを示す遺伝子の細胞内局在など、当初目的どおりさらに詳細に解析を進める計画である。
当初計画どおり次のような研究を遂行する。①発現異常を示す遺伝子の細胞内局在解析;神経系細胞に分化した状態で免疫組織染色等により、当該遺伝子産物の細胞内での局在を調べ、どのような細胞内器官で機能しているか明らかにする。②siRNAによるレスキューを確認する;過剰に発現している遺伝子に関しては、それらをsiRNAで抑制させることにより、phenotypeが変化するかどうか検証する。③アンチセンスオリゴなどによる治療法の開発;上記の結果を受けて、アンチセンスオリゴなどによる治療の可能性を検討する。
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