研究課題
アレイCGH解析によりゲノムコピー数異常が発生要因と同定された発達障害患者から疾患iPS細胞を樹立し、神経系細胞へ分化誘導させて病態解析を行い、発症メカニズムを解明することが本研究の目的である。前年度までは神経分化の時間的経過に沿って網羅的な遺伝子解析を行い、疾患特異的な遺伝子発現を同定した。また、神経分化誘導過程でマウスアストロサイトを共培養させることで、長期培養によって成熟したニューロンまで分化させることに成功した。患者由来iPS細胞を用いてニューロンを解析したところ、スパインの形成不全と活動電流の減弱を認めた。今年度は前年度に引き続き解析数を増やして実験を追加した。ミクロレベルでの疾患特異的な変化の有無を同定するため、スパインの解析として免疫染色でSynapsin1とPSD95で共染色部位のDot数をカウントし、シナプスにおける密度を計算した。現在まだ解析を続けている段階であるが、疾患由来のニューロンでは密度が正常に比べて小さいという結果が得られている。さらに、iPS細胞をシングルセル培養に切り替えて、レンチウイルスベクターを用いて正常iPS細胞と疾患iPS細胞をそれぞれ異なる蛍光色素(DsRed・EGFP)で標識した。それらのiPS細胞を同一のDishで神経分化を行った。この方法によって、培養状態を統一でき、神経ネットワークの成熟度の影響を無視できる状況でのニューロンにおける疾患特異的変化の有無を観察した。蛍光色素の導入に時間がかかり、現在培養を継続している状態であるため、今後結果をまとめて公表する予定である。さらに、発達障害を来たした患者を新たに次世代シークエンサーやアレイCGHを用いた遺伝学的解析によって遺伝学的異常を認め、論文報告した。今後も病態解析の有効なツールとしてiPS細胞技術を用いて解析を行う予定である。
すべて 2017 2016
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