研究実績の概要 |
今年度は(1)HCN2変異体遺伝子をラット海馬細胞に導入(2)パッチクランプ法を用いてHCN2チャネル活性の評価を行い、変異型HCN2遺伝子と野生型の比較を行った。また、(3)PC-12やCA1細胞を使用し変異型HCN2チャネルの組織内分布も観察した。さらに(4)変異型HCN2遺伝子をiPS 細胞から分化した神経幹細胞球に導入し分化誘導を行った。 (1)、(2)、(3)の実験の結果、ラット海馬CA1細胞における機能評価では、培養細胞と同様の結果(変異型では野生型よりもコンダクタンスが上昇していた)が得られた。また細胞内の分布については、PC-12において細胞膜への移行が確認された。 (4)については変異型HCN2遺伝子をiPS 細胞から分化した神経幹細胞球に導入する過程が非常に困難であったため予定通りに進行せず大幅に遅れ現在分化誘導中であるため現時点で比較が困難な状態である。 以上の結果から動物神経細胞においても培養細胞と同様の結果が得られた。このことから今回の研究は熱性けいれんが個体レベルでも起こりうる可能性を示唆した結果になり、熱性けいれんの病態解明の一助になることが大いに期待されるものである。 また今年度は前年度に発表した論文(HCN2変異遺伝子についての実験結果をまとめ、PLOSONEに発表 2013年, Volume 8, e80376)についての発表(生理学研究所)、講演(名古屋市立大学)を行った。
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