研究課題/領域番号 |
24791097
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
下畑 充志 独立行政法人理化学研究所, 神経遺伝研究チーム, リサーチアソシエイト (00624735)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / ダウン症 / 神経科学 / 脳・神経 |
研究概要 |
1、ダウン症モデルマウス:Ts1CjeマウスとCbr1遺伝子へテロマウスを交配し、Ts1Cjeマウス、Ts1Cje-Cbr1(+/+/-)マウス、野生型マウスのこれら3群について記憶学習に関連するとされる行動試験:Y-maze test, Object Recognition testを試行した。現在までのところ、これら行動試験ではTs1Cje-Cbr1(+/+/-)マウスの記憶学習機能の改善傾向はないが、個体差が大きく統計処理に十分なデータを確保するため引き続き検証を行う。 2、Ts1Cjeマウスで見られる成体神経新生の障害について、Ts1Cje-Cbr1(+/+/-)マウスを用いて変化の有無を調べたが、予備的な実験では改善の傾向は見られなかった。平成25年度にデータの蓄積を行い再検討する。 3、過酸化ストレスのマーカーである13-HPODE(HEL), 4-HNEを認識する抗体を用いてTs1Cje-Cbr1(+/+/-)マウス脳での変化を調べた。結果、Ts1Cje-Cbr1(+/+/-)マウス脳ではより脂質過酸化が悪化している可能性がみられたが、さらなる検証のためデータの蓄積を行う必要がある。 4、Ts1Cje-Cbr1(+/+/-)マウスの体重をTs1Cjeマウスと比較したが、Ts1Cjeと同様に体重減少の傾向が見られた。さらにTs1Cje-Cbr1(+/+/-)マウスの脳室拡大の検討を行うためMRIの撮像を行った。データの解析を慎重に行っている。 5、Ts1Cjeマウスでみられる新規環境下における行動異常(行動量増加)についてTs1Cje-Cbr1(+/+/-)マウスでの変化を調べた。改善傾向は見られていないが、個体差によるデータのバラツキが見られるため更に数を増やして検証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度計画していた実験について、Ts1Cje-Cbr1(+/+/-)マウスではTs1Cjeマウスで見られた行動学的、生化学的、形態学的に異常は改善されない傾向にあるが、さらに数を増やして検証する必要がある。 この結果の検証に向けたデータの蓄積については、マウスの準備をすでに進めている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き、当該年度においても行動学的、形態学的、生化学的解析についてデータの蓄積を行う。行動試験においては各マウスの個体差によるデータのバラツキが見られるため、慎重に検証を行う必要がある。神経新生の変化についてはデータの蓄積を目標とし、得られた結果の再現性を確認する。また脂質過酸化の検証では、Ts1Cje-Cbr1(+/+/-)マウスの脳内で悪化傾向にあるとの結果を慎重に確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1、次年度に使用する予定の繰り越し研究費(90000円)がある。平成24年度中に購入した試薬、消耗品が当初計画より安価に入手できたためである。 2、Ts1Cje-Cbr1(+/+/-)マウスの行動学的、生化学的、形態学的解析を、Ts1Cjeマウスと比較しながら引き続き行う。これらマウスの維持を行うと共に、記憶学習等に関する行動試験を行う。BrdUを投与しマウス脳スライスを作製し免疫組織学的解析により、神経新生の変化について調べる。また酸化ストレスのマーカーである13-HPODE(HEL), 4-HNEの抗体を用いてTs1Cje-Cbr1(+/+/-)マウス脳での悪化の検証を行う。
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