研究課題
本研究は、次世代遺伝子解析技術を基盤とし、性分化疾患(DSD: Disorders of sex development)患者における既知および新規DSD原因遺伝子変異の同定と遺伝子機能の解明を目的とした。研究期間を通して下記の研究が行われた。(1) 重度の外性器異常を伴うDSD の47例: 既知DSD責任遺伝子と候補遺伝子を対象とする次世代シークエンス(NGS)解析、および、アレイCGH解析。(2) 尿道下裂150例: 既知尿道責任遺伝子と候補遺伝子を対象とするNGS解析。(3) 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(HH)60例: 既知HH責任遺伝子を対象とするNGS解析。研究成果は下記の通りである。(1) NGS解析では、8例において病的意義が明確な既知遺伝子変異が、29例で候補遺伝子の変異が同定された。重症DSD症例においては、既知遺伝子変異の同定頻度が高い事が明確となり、DSD発症におけるoligogeneityの可能性および既知遺伝子変異による表現型の多様性が見出された。また、候補遺伝子変異について、現在機能解析を進めている。アレイCGH解析では4例の染色体微小欠失を検出し、その成果は学術雑誌に掲載された。(2) 尿道下裂7例より既知遺伝子変異が、23例で疾患感受性多型が同定された。現在、成果を論文化し、学術雑誌へ投稿準備中である。また、学術的に有意義な候補遺伝子変異について、現在機能解析を進めている。(3)FGF8遺伝子のフレームシフト変異が、視床下部-下垂体不全の病因となる事を示した。またその成果は、学術雑誌に掲載された。本研究では、次世代遺伝子解析技術が、遺伝的異質性を有する疾患の変異スクリーニングに有用であることが明らかとした。本研究は、早期的な疾患責任遺伝子変異の同定に貢献するほか、疾患成立機序の解明の一翼を担うものである。
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