正期産児における出生体重とメタボリックシンドロームに関連するホルモンの遺伝子多型との関連に関する検討について 出生体重とメタボリックシンドロームに関連するホルモンを検討するため、正期産で母体に合併症のない新生児と、妊娠糖尿病母体から出生した新生児を比較検討した。妊娠糖尿病母体は、血用介入が必要なかった軽症の妊娠糖尿病母体から出生した新生児を対象とした。出生体重、身長、頭囲、胸囲は軽症の妊娠糖尿病母体群が正常群に比べて有意に大きかった。軽症の妊娠糖尿病母体群の臍帯血free IGF1、IGFBP2は高値の、IGFBP1は低値の傾向がみられたが、有意ではなかった。free IGF1は出生体重SDスコアやPonderal Indexと相関を認めた。多変量解析で軽症軽症の妊娠糖尿病母体の有無がfree IGF1に影響を与えることが示された。IGFBP1、2については軽症軽症の妊娠糖尿病母体の有無による影響は認められなかった。以上から、2群間の胎児発育の差はIGF-IGFBP系の変化だけでは説明できないと考えられた。 SGA低身長のCatch upに影響を与える因子の検討 早産低出生体重児をSGA群とAGA群の2群に分け、身体計測および血清アディポネクチンを継時的に測定した。結果は、SGA児の体重もしく身長は全例修正6か月までに-2SD以上にCatch upしたが、3歳まで体重はAGA児に比べ有意に低かった。血清アディポネクチンは修正満期でSGA児が有意に低値であったが、それ以降は2群間で差はなく、3歳までの各時期で血清アディポネクチンと体重との間に両群とも相関はなかった。3歳時の空腹時血糖はAGAが有意に高値であった。今回の検討ではCatch up後の早産SGA児においてインスリン感受性の指標とされる血清アディポネクチン値は、AGA児と有意差はなく体重との相関もなかった。
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