研究課題
生後早期におけるストレスが、精神疾患の発症要因となる可能性が指摘されている。一方、脳由来神経栄養因子(BDNF)による神経細胞のコレステロール合成の誘導がシナプス形成に必須であることから、生後早期におけるストレスがこの過程を阻害する可能性が考えられた。そこで本研究では、ストレスホルモンとコレステロール合成のクロストークの可能性、母子分離モデルラットにおけるコレステロール関連遺伝子の発現解析、BDNFに依存した新たな脂質成分の探索、さらに発展的研究として幼若期の神経ストレスを検出する技術シードの開発を実施した。その結果、第一に、予想に反して、神経細胞のコレステロール合成がストレスホルモンであるコルチコステロンの影響を受けないことを確認した。第二に、母子分離モデルラットにおいてコレステロール合成酵素の一部が発現低下することを見出した。第三に、神経細胞においてBDNF依存的に合成される新たな脂質成分として、脂肪酸であるパルミトレイン酸を見出した。第四に、神経細胞の細胞死シグナリングに関与するカルパイン活性を検出するための人工転写因子のプロトタイプを作成した。これらの研究は、新生児期の神経細胞におけるBDNFシグナルと脂質合成系の制御を明らかにし、さらにその一部は、母子分離ストレスによって影響される可能性を示唆した。
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