研究課題/領域番号 |
24791114
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
青柳 良倫 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30509469)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 胎児プログラミング / 胎仔エコー |
研究概要 |
平成24年度は、母胎マウスに薬物を投与した場合、投与直後の急性期における胎仔マウスの体内各血行動態の変化(血流再分配)についての研究を施行した。 具体的には、在胎日齢9.5、11.5、13.5の妊娠マウスを用いて、エコー法によりまず妊娠マウスの心機能を計測した後、4~5匹の胎仔マウスに対して、それぞれ背側大動脈、総頸動脈、臍帯動静脈、子宮動脈の血流をドプラ法にて計測した。次に母胎マウスにニコチン0.2~0.5mg/kgを皮下投与し、投与20分から30分後にかけて、妊娠マウスの心機能と胎仔マウスに対する背側大動脈、総頸動脈、臍帯動脈、子宮動脈のそれぞれの血流を再度計測し、ニコチン投与前後での急性期における母胎の心機能と胎仔の血行動態の変化を検討した。また対照群として生理食塩水を0.1ml/mg皮下投与した妊娠マウスを用いて同様の実験を施行した。 結果として、まずニコチン0.5mg/kgを皮下投与した場合、胎仔マウスの総頸動脈の血流が有意に減少することが判明したが、この場合、母胎の心拍出量や心駆出率も共に大きく変動したため、母胎の血行動態が変化したことが胎仔マウスの血行動態に影響した可能性が高いと考えられた。そのため、ニコチンを0.2mg/kgに減量して皮下投与し、同様の研究を行ったところ、母胎の心拍出量や心駆出率にはほぼ変化がなく、仔マウスの総頸動脈の血流量が減少しやすいことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初用いたニコチン投与量は、過去の文献から適切と考えられる0.5mg/kgを用いたが、母胎から採血して測定した皮下注射30分後のニコチン血中濃度は約60~80ng/mlと予想よりも高値であり、母胎の心機能や血行動態に与える影響が大きすぎたため、ニコチン投与量を0.2mg/kgに減量して実験を追加した経緯があり、当初の予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ニコチンを投与した妊娠マウスから出生したマウス群を成獣まで成育させ、身体発育や血圧、心機能などを経時的に評価することにより、胎児プログラミングを実証する。また、薬物負荷の他、妊娠マウスに低栄養負荷を掛けた場合の出生後のマウスの発育や心機能などについても検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費(マウス代等)、研究発表会への旅費、英文校閲費など
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