妊娠初期のマウスに薬物負荷などのストレスを与え、胎仔のエコー検査を行うことにより胎仔の心血行動態の変化を検討した。妊娠マウスにニコチン0.2mg/kgを皮下注射することにより、注射15~30分後の母胎の心拍数、駆出率、心拍出量は増加する傾向を認めた。一方胎仔の臓器血流においては、ニコチン投与後15~30分後には生理食塩水を皮下注射したコントロール群と比較して頸動脈血流が有意に減少し、背側大動脈及び臍帯動脈の血流も減少する傾向を認めた。急性期におけるこの循環調節は血流再分配の概念につながる反応であり、胎仔の発育低下や出生後の発育障害などの胎児プログラミングに影響する可能性が高いと考えられる。
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