| 研究課題/領域番号 |
24791123
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| 研究種目 |
若手研究(B)
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| 研究機関 | 日本女子大学 |
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研究代表者 |
太田 真理子 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (50599412)
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| 研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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| キーワード | 脳・神経 / 新生児発達 / 皮質血行動態 / 呼吸 / 脳波 |
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| 研究概要 |
研究代表者はこれまで，脳波，NIRS(光トポグラフィ)，呼吸運動などを同時に計測して，神経活動と呼吸運動との因果関係を調べてきた。最近では，成人・新生児の各々の大脳新皮質において，呼吸調整に関連する皮質部位を明らかにした。しかし，早期産児における呼吸調整と大脳新皮質の関連については未解明のままである。
本研究課題では，早期産児と正期産児の各新生児について，脳活動から呼吸運動への情報伝達パタン（因果関係）を明らかにし，大脳新皮質における呼吸調整機能の発達について評価することを目的とする。また2つ目の目的として，先行研究において，呼吸障害との相関が指摘されてきた新生児の臨床脳波（trace-alternant pattern, delta burst pattern）に着目し，臨床脳波の出現時期と「呼吸信号・脳波・NIRS信号の因果関係」の出現時期の相関（一致率）を調べる。それにより，各種臨床脳波が呼吸調整機能のどのような側面を反映しているのかについて新たな解釈を見つけることを目指す。
以上の目的を達成するため，慶應義塾大学医学部小児科学教室の協力のもと，新生児を対象に呼吸信号・脳波・NIRS信号の同時計測を実施している。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年４月の本研究課題採択決定と同時期に，研究代表者の勤務先と業務内容が変更になり，本研究課題への予定エフォート（50 %）を確保できなくなった（現在の本研究課題エフォートは35 %である）。そのため研究の進め方を修正し，課題の達成を目指すことにした。
初年度（平成24年度）は，計測を重点的に行った。現在までに40人の新生児の計測をし，31人分の計測を成功させた。計画当初の目標データ数は50人としたが，その半数以上を初年度に取得することができた。
これまでに，早期産児9人（出生週数30週6日～35週1日；検査時週数34週2日～36週3日），正期産児12人（出生週数37週1日～40週6日；検査時週数38週0日～41週6日）の合計21人分のデータについて因果関係解析（偏有向コヒーレンス解析）を実行した。その結果，脳波から呼吸への情報伝達を示す結果が，早期産児よりも正期産児で多く検出された。同様の情報伝達パタンについては，これまでの研究代表者による研究成果（ただし正期産新生児と成人の結果）でも報告されており，この情報伝達パタンに関連する大脳新皮質部位を特定できている。しかし，本研究においては，現段階のデータ解析では，正期産児のデータからでさえ，その因果関係と関連する皮質部位を特定することはできなかった。
呼吸に関連する皮質部位を特定できない理由には２つの事が考えられる。１つ目は，本研究の計測時間が15分程度と比較的短いこと，２つ目は，計測中の脳波信号に比較的長周期の揺らぎ（0.1 Hz）が混入するケースが数例見られ，解析対象としている脳波成分（0.5～7 Hz）の精度が落ちてしまうことである。新生児への負担と計測コスト（人的コスト）の理由から，計測時間を延長することはできない。そこで，対応策として，長周期の揺らぎの影響を受けにくい脳波成分抽出法について現在検討中である。
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| 今後の研究の推進方策 |
昨年度（平成24年度）は，新生児計測を重点的に行い，ある程度まとまった数（新生児31人）のデータを収集することができた。そこで，今年度（平成25年度）以降は，得られたデータの解析を重点的に行い，本研究課題の目的に応える重要結果について議論できるようにすることを目標にする。具体的には，以下の研究項目の実施を予定する。
①昨年度に引き続き，「呼吸信号・脳波・NIRS信号の因果関係」の解析を進め，脳から呼吸への情報伝達パタンの抽出を行い，関連する大脳新皮質部位の特定を行う。さらに早期産児と正期産児の違いを明らかにする。
なお，解析手法については，特定の脳波成分を抽出する方法について改善を検討中である。現行では，計測した脳波信号から特定の脳波成分の抽出する際にスペクトル法を採用しているが，長周期揺らぎ成分の影響を受けやすい。そこで，新たな方法としてComplex Demoduration(CD)法による脳波成分の抽出を試みる予定である。
②呼吸障害と関連するのではないかと示唆されている臨床脳波パタン（trace-alternant pattern, delta burst pattern）の出現時期と，上記①で明らかになった脳から呼吸への情報伝達パタンの出現時期との相関について調べる。
③データ収集については，昨年度と同様の手続きで継続する。ただし，昨年度までに相当数のデータを収集できているため，実験参加者の一か月当たりのリクルート数を徐々に減らしていく。また，解析結果について統計的有意差が得られた段階で，データ収集を終了する。
④研究成果報告については，上記①②の重要結果が明らかになった段階で随時行っていく。
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| 次年度の研究費の使用計画 |
現行では，計測した脳波信号から特定の脳波成分の抽出する際にスペクトル法を採用しているが，脳波成分の抽出精度を向上させることによって，脳波と呼吸の関係性を，現在よりもさらに明確に表現できる可能性がある。新たな方法としてComplex Demoduration(CD)法による脳波成分の抽出を試みたく，以下の脳波解析ソフトの購入を検討している。
（１）CDM trend Play（のるぷろライトシステム） \420,000
（２）トレンドDSA機能オプション（のるぷろライトシステム） \210,000
ただし（２）は所属機関の個人研究費と合算して購入予定である。
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