本研究では,新生児を対象に,呼吸調整に関与する大脳皮質活動の発達について評価することを目的とした。特に,新生児が寝ながらに母親の声を聴くときの呼吸調整に着目した。34~41週齢の新生児を対象に,胸部呼吸運動,心拍,脳波,大脳皮質血行動態を同時に計測した。その結果,母親の声には,高次認知活動とそれに伴う漸次的な呼吸活動を促進する効果があること,さらに急激な呼吸変化を和らげる効果もあることが分かった。そして,こうした効果は前頭前野の高次脳機能によってもたらされると考えられ,またこのような脳機能は38週齢までには充分に発達しているようだ。
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