研究課題
アトピー性皮膚炎は、小児の約15%が罹患する、極めて頻度の高い疾患である。アトピー性皮膚炎の原因は長らく不明であったが、最近、申請者らは、日本人のアトピー性皮膚炎患者の一部がフィラグリン遺伝子変異を持つことを明らかにしたが、残りの患者については、未だに病因が不明である。そこで、我々は、それらフィラグリン遺伝子変異を持っていない患者について、フィラグリン2遺伝子の解析を行うことにした。フィラグリン2は、フィラグリンと同じく、ヒト表皮の顆粒層と角層に発現するタンパク質で、最近の研究により、皮膚バリア機能の形成と皮膚の保湿への深い関与が示唆されており、アトピー性皮膚炎発症との関連が強く疑われるが、両者の関連はこれまで解明されていない。今回の研究の目的は、アトピー性皮膚炎患者にフィラグリン2遺伝子の変異が認められるかどうかを検討し、アトピー性皮膚炎の新しい発症因子を明らかにすることである。これにより、まだ十分解明されていないアトピー性皮膚炎の病因の一端が明らかになることが期待される。今回の研究ではまず我々がこれまでに収集した約250人のアトピー性皮膚炎患者からフィラグリン遺伝子変異を持たない患者の抽出を行った。具体的には、これまで日本人で同定されている11種類のフィラグリン遺伝子変異のすべてについてdirect sequence法で変異の有無を決定した。次に、フィラグリン2遺伝子変異について検討した。まず、日本人で認められるフィラグリン2の機能喪失変異のvariantを同定するために、日本人の検体についてwhole-exome sequenceを施行した。結果、フィラグリン2遺伝子にナンセンス変異を同定できた。フィラグリン遺伝子変異を持たない患者がこのフィラグリン2遺伝子のナンセンス変異を何%保有するのか、スクリーニングを施行している。
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European Journal of Dermatology
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