疥癬は、その診断の難しさや感染力の強さから、最前線の皮膚科医にとって、常に忘れてならない皮膚疾患となっている。本研究の目的は、簡便・迅速で多くの検体を処理できる画期的な検査法の臨床応用、ならびに今後問題となる薬剤耐性虫の同定である 1) ヒゼンダニ特異的プライマーの作成、DNAと Loop-Mediated Isothermal Amplification(LAMP)法の条件の設定:我々はすでにヒゼンダニDNA塩基配列からPCRを行いある程度プライマーに適したDNA配列を決定していたので、その部位を基本としてLAMP法に適した種々のプライマーを作成し、 得られたPCR産物をクローニングしてシークエンスを行いDNAの配列を確認、種々の温度にて反応を検討した。 2)適切な検体の採取法:虫体、虫卵、排泄物などの検体から、PCRとLAPM法で増幅をおこなった。 また、どの程度で陽性になるか、寝具などのゴミから検査を行うことも検討した。 3)患者での実際の応用:実際に疥癬が流行している施設において、倫理委員会での同意を得て、鏡検とLAMP法の感度や特異度の相違を検討した。また、実際に検体採取から診断までの時間を測定した。さらに、鏡検で虫体が消失後もLAMP法が陽性になるか検討した。 4) 通常の病棟での検査:疥癬の流行があった病棟で、倫理委員会での同意のもと、臨床症状を有する患者・医師・看護師から検体を採取し、検討した。また疥癬の集団発生のおこっていない老人を主体とする病院やベットを共用する人工透析病院で体幹に散発する掻痒の強い小丘疹を有する患者で鏡検を行い、潜在する患者がどのくらいいるのか調査した。
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