研究課題/領域番号 |
24791134
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤澤 康弘 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70550193)
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キーワード | RORγt / 接触皮膚炎 / Th17 / Neuropilin-1 |
研究概要 |
現在進行中のプロジェクトについて詳述する. 1. RORγt遺伝子導入骨髄細胞の移植により作成した移植マウスの解析 C57/BL6系統の長幹骨から採取した骨髄幹細胞・前駆細胞にRORγtの環状DNAを導入すべく,GCDNsam/IRES/NGFRベクターを使用しており,90%以上の導入効率があった.しかし,震災後再作成したベクターの導入効率が目標の90%に届かない.90%の導入効率が無いと,移植後のキメリズムが低くなり,RORγt発現T細胞の割合が低下する.そこで現在,使用ベクターをサイレンシングを受けにくいGCDdNsam/IRES/NGFRに変更し,環状DNAをマルチクローニングサイトに挿入,293gpgパッケージング細胞にトランスダクションを行って居る.これから遺伝子導入293gpgをソーティングし,ベクターのトランスダクション割合が90%を超えた段階で再度幹細胞への遺伝子導入を行う予定である. 2. Neuropilin-1遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの解析 これまでの実験で得られたRORγt導入マウスのTh1の誘導原弱と制御性Tの誘導の増強のうち,制御性Tの関連した免疫抑制にはNeuropilin-1の発現が関わっている可能性がある事に注目し,Neuropilin-1についての検討を開始した.理化学研究所よりCD4細胞でのみ発現をさせるための発現ベクターの供与を受け,Neropilin-1のcDNAを挿入したものを受精卵へインジェクションする方法でのトランスジェニックマウスを作成した.トランスジェニックマウスへの導入の有無は,末梢血中のT細胞のEGFP蛍光の有無で判別できるため,受領した約100匹のマウスを数回にわたりFACSにてトランスジーンの有無を検討した.そうしたところ,トランスジーンが確認できた個体は1匹もなかったため,現在理化学研究所から供与を受けたCD4発現ベクターについて実際にワークするかを検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RORγt発現ウイルスベクターの効率が上がらず,このレベルで導入しても導入遺伝子を発現する血球系細胞のキメリズムが低く目的とするフェノタイプが得られない.そのため,現在感染効率を上げるために,ベクター自体のコンストラクトを変更した上で新たなパッケージング細胞作成を行い,効率の向上を得ることを目論んでいる. また,Neropilin-1のトランスジェニックマウスの作成がうまくいかない原因を現在精査中で有り,こちらが作成の際に渡した遺伝子断片が良くないのか,それとも供与を受けたCD4発現ベクターがうまくワークしていないのか,両面で検証中である.
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今後の研究の推進方策 |
RORγt発現系についてはそのフェノタイプが出ることはこれまでの実験で明らかなので,問題はその前段階の遺伝子導入法にある.残念ながら以前得られた導入効率が戻らないため,ベクター自体のコンストラクトを変えて施行中である.安定した効率が得られると考えているが,万一目標とする効率が得られない場合は,別の方法としてセンダイウイルスベクターの利用も考慮に入れている. Neuropilin-1のプロジェクトに関しては,トランスジェニックマウスの作成に向けて発現ベクターの確認を,再度の作成をチャレンジする予定である. その上で,次回はFACSだけでなくサザンブロットによるトランスジーンの確認を加える事も考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
フェノタイピングに時間が取られたことから,その前の支出が生じなかった. 次年度にその分を使用する予定である.
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