研究課題
近年我々は、表皮水疱蓋を用いたex vivo HIV感染モデルを用い、性行為HIV感染におけるCCR5阻害薬;Maraviroc(シーエルセントリ:ファイザー製薬)の経皮的HIV感染阻害効果を検討し、同モデルにおける経皮HIV感染予防効果を確認している。さらに、Maraviroc(MVC)内服後のDiscordant couplesのAIDS男性から、同剤の精液への移行も確認している。さらに当研究室では、MVC(300 mg x 2/day)を1日、2日、3日、あるいは14日間内服した健常ボランティア(各5名)から精液を採取し(最終内服2時間後)、MVC濃度を測定し、MVC内服後の精液中への移行を確認済みである。以上の背景より、予防薬としてのMVC内服後の精液曝露も、異性間接触時のHIV感染阻害効果を増強しうる、と仮説を立て研究を進めた。最終年度、MVCを1日、2日、3日、ないし14日間内服した健常ボランティア(各2-3人)からの精液による前処置は、MVCを内服していない別の健常ボランティアから採取した表皮シート内の表皮内ランゲルハンス細胞(LC)に対するHIV感染を有意に阻害しなかった(フローサイトメトリーによりLCのHIV感染率、ELISAによりLCからCD4陽性T細胞へのHIV播種・伝播能を比較検討した)。また、MVCを1日、2日、3日、ないし14日間内服した健常ボランティア(各2人)からの精液による前処置も、MVCを1日、2日間内服した別の健常ボランティアから採取した表皮シート内の表皮内LCに対するHIV感染を有意に阻害しなかった。研究期間全体を通じて、MVC内服後の精液曝露は、異性間接触時のHIV感染阻害効果を増強しないことが示唆された。
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J Invest Dermatol
巻: 133(12) ページ: 2803-5
10.1038/jid.2013.215