本研究では、発癌を来したKID症候群患者の変異遺伝子を表皮に発現するモデルマウスを作成し、KID症候群で発癌を来す機序を解明することを目的としていた。作成されたモデルマウスでは、特徴的なフェノタイプを来したが、自然発がんはみらず、紫外線を照射したところ、潰瘍形成し治癒が遷延したが、発癌は認められなかった。一部のモデルマウスでは、多発膿瘍を形成し免疫不全の合併が示唆されたがT細胞のサイトカイン産生能等は保たれていた。免疫不全が発癌に関与した可能性も考えられた。紫外線照射を行うと、変異Cx26遺伝子を導入したHaCaT 細胞では細胞死が軽度抑制されており、これが発癌と関連する可能性が示唆された。
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